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著者: かぶてぃー|公開: 2026年5月1日|更新: 2026年5月1日

日本製鉄USスチール3000億円投資で電炉・鉄鋼原料の安定調達が動く関連銘柄

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日本製鉄は2026年4月30日、買収したUSスチール傘下のビッグ・リバー・スチール(アーカンソー州)に約19億ドル(約3000億円)を投資し、直接還元鉄(DRI)製造プラントを新設すると発表しました。新プラントは石炭(コークス)の代わりに天然ガスで鉄鉱石を還元する方式を採用し、USスチールがミネソタ州の鉱山で生産するペレットを原料とします。この投資は、2028年までに総額約110億ドルをUSスチールに投じるとする米政府との合意の一部であり、日本経済新聞 2026年4月30日が報じました。USスチールは2025年6月18日に日本製鉄の完全子会社となっており、今回の設備決定はその完了後初の大型投資判断にあたります。

日本製鉄(5401)がUSスチールへの3000億円DRI設備投資で電炉拡大に伴う電力需要が拡大し、中部電力(9502)など電力・工業ガス関連銘柄への恩恵が見込まれる一方、既存の天然ガス長期契約を収益柱とする東京ガス(9531)は需要構造の変化リスクを抱えます。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし水素直接還元技術が実用化され導入が進んだ場合、脱炭素対応とコスト競争力が同時に実現する

直接影響を受けるセクター

エネルギー・電力

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    DRI製造設備投資

    天然ガス→水素への移行開始

  2. 2
    水素製造・供給インフラ需要

    製鋼業向け水素供給の急速拡大

  3. 3
    電力需要爆発

    水素製造・DRI用電解装置に莫大電力必要

  4. 4
    高圧配電・変圧器・制御機器需要

    電力インフラ強化に大型重電機器不可欠

  5. 5
    水素製造触媒・膜材料需要

    電解水素製造の効率化に特殊化学品必須

  6. 6
    鉄鋼業向け工業ガス・液化供給

    DRI・水素供給で産業ガス企業の役割拡大

  7. 7
    既存天然ガス供給契約価値低下

    長期ガス契約の需要減少リスク顕在化

日本製鉄USスチール3000億円投資で電炉拡大が電力需要を押し上げる構造

日本製鉄の2026年4月30日付プレスリリースによると、ビッグ・リバー・スチールへのDRI設備投資は、天然ガスで鉄鉱石を還元する方式を採用します。コークス高炉に比べてCO2排出量を約半減できる一方、電炉での製鋼工程は大量の電力を必要とします。日経ESGが2025年8月25日に報じた通り、米国では鉄鋼生産の約7割をすでに電炉が占めており、日鉄がこの分野に110億ドルを投じることで電炉比率はさらに高まります。電力需要の拡大は電力会社に直結するロジックで、国内で同様の電炉普及が進む場合には、中部電力(9502)のような大手電力会社が産業向け電力供給の受け皿になります。中部電力は2026年3月期の連結売上高が3兆5,460億円と安定した収益基盤を持ちつつ、産業用電力の長期契約拡大余地があります。

水素直接還元が実用化された場合の電解装置は、さらに桁違いの電力を消費するため、電力インフラの増強需要が生まれます。大型変圧器・高圧配電・制御機器を手がける日立製作所(6501)は、この設備投資サイクルの受益者となる構造があります。

鉄鋼原料の安定調達シフトが鉄鋼関連銘柄・ガス会社株価に与える影響

DRIプラントの稼働には安定した天然ガス供給が不可欠で、国際石油開発帝石(1605)のような上流資源会社には、製鉄向けガス需要という新たな需要源が開きます。INPEX(1605)は2025年12月期に売上収益2兆113億円を確保しており、製鋼業向けガス供給契約の拡大はポートフォリオの多様化に寄与します。

DRI・水素供給においては工業ガスの役割も大きく、エア・ウォーター(4088)は国内製鉄所向けの液化ガス供給実績を持ちます。水素製造・電解装置の分野ではPlug Power(PLUG)が2025年通期で売上高7億ドル超、Q4に初のポジティブ粗利益率を達成しており、製鋼向け水素供給市場の立ち上がりは同社の事業環境に追い風をもたらします。水素製造の効率化に必要な触媒・膜材料では、三菱ガス化学(4182)が保有する特殊化学品の技術が需要に直結します。

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見落とされやすい天然ガス供給会社・ガス株への打撃リスク

DRIが当面は天然ガスを燃料とするため、短期的にはLNGの需要を支えます。しかし水素直接還元への移行シナリオが現実味を帯びるほど、長期的な天然ガス需要の上限観測が変わります。東京ガス(9531)・大阪ガス(9532)は都市ガス事業に加えて産業用ガスを収益の柱としていますが、製鋼向け大口契約が水素に置き換わるシナリオでは、中長期の販売量見通しの修正圧力が生じます。米国LNG輸出大手のCheniere Energy(LNG)も、製鋼向け需要減少リスクは同様の構造を持ちます。

さらに視野を広げると、ガス田開発・LNGプラントのエンジニアリングを手がけるJGC日立(1685)は、新規LNG設備の発注減少という形でリスクが波及します。工業用セラミクスで水素製造に関連する材料供給を手がける日本ガイシ(5333)も、既存製品ラインと新規需要のバランスが変わる転換点にあります。産業ガス世界大手のLinde(LIN)は、鉄鋼向け供給で現在の地位を持ちながらも、エア・ウォーターなど国内プレイヤーとの調達競合が強まる場面があります。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

中部電力9502

根拠日本製鉄のDRI・電炉投資は電力多消費型の製鋼工程を拡大させ、産業向け電力需要を直接押し上げます。米国では電炉比率が約7割に達しており、国内でも同様の電炉普及シナリオが進展すれば、2026年3月期に連結売上高3兆5,460億円・当期純利益2,277億円を計上する中部電力の産業用電力長期契約残高が拡大します。製鉄所向け大口需要の獲得は同社の収益基盤をさらに安定させます。
経路電炉・DRI設備の稼働拡大(製鋼工程の電力消費増)産業用電力の長期大口契約需要増加(中部圏製鉄所向け供給拡大)中部電力の産業向け売上高・利益率が向上

国際石油開発帝石1605

根拠DRIプラントは天然ガスを還元剤として大量消費する構造であり、Big River Steelの新設プラント稼働は製鉄向けガス需要という新たな需要源を生み出します。2025年12月期に売上収益2兆113億円を確保するINPEXは、製鋼業向けガス供給契約を追加することでポートフォリオを多様化し、油価下落リスクへの耐性を高めます。製鉄向け安定需要は長期契約性が高く、同社のキャッシュフロー安定化に直結します。
経路DRIプラント稼働(天然ガスを還元剤として連続消費)製鋼業向け長期ガス供給契約の新規獲得(INPEXのポートフォリオ多様化)油価変動耐性の向上とキャッシュフロー安定化

日立製作所6501

根拠DRI・水素直接還元製鉄の実用化は電力インフラの大規模増強需要を生み出し、大型変圧器・高圧配電・制御機器を手がける日立製作所はこの設備投資サイクルの主要受益者となります。水素電解装置は従来比で桁違いの電力を消費するため、製鉄所周辺の送配電インフラ刷新が不可欠となり、日立のエネルギー事業セグメントへの受注が増加します。同社のグリッド事業はすでに北米市場での拡大を進めており、この需要拡大と直結します。
経路電炉・水素還元設備の投資拡大(製鉄所周辺の電力インフラ増強需要)大型変圧器・高圧配電・制御機器の受注増加(日立エネルギー事業セグメントの売上拡大)北米グリッド事業の収益成長加速

三菱ガス化学4182

根拠水素直接還元製鉄の効率化には高性能触媒・分離膜材料が不可欠であり、三菱ガス化学が保有する特殊化学品技術はこの需要に直結します。同社は過酸化水素・特殊ガスといった機能性化学品の製造・供給実績を持ち、電解槽用膜材料や水素精製プロセス向け触媒の供給拡大が製鋼向け水素サプライチェーン構築とともに加速します。日鉄の110億ドル規模の投資は材料需要を長期的に押し上げます。
経路水素直接還元製鉄の実用化投資拡大(電解槽・水素精製プロセス向け材料需要増)三菱ガス化学の機能性化学品・触媒・膜材料の受注増加(高機能製品セグメントの売上拡大)収益性の高い特殊化学品事業のシェア向上

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

Plug Power Inc.PLUG

根拠水素直接還元製鉄への移行シナリオが現実化するにつれ、製鋼向け水素供給インフラの構築需要が急拡大します。Plug Powerは2025年通期で売上高7億ドル超を達成しQ4に初のポジティブ粗利益率を実現した水素製造・電解装置サプライヤーであり、製鋼向け大規模水素供給市場の立ち上がりは同社の電解槽販売および液化水素供給事業の主要需要源となります。日鉄の110億ドル投資はこの市場規模を裏付けます。
経路水素直接還元製鉄への投資拡大(製鋼向け水素需要の大規模化)電解槽・液化水素供給設備の受注増加(Plug Powerの売上高・粗利益率の継続改善)事業採算性の向上と流動性基盤の強化
意外な波及

エア・ウォーター4088

根拠エア・ウォーターは国内製鉄所向けの液化ガス供給実績を持つ産業ガス会社であり、DRI・電炉プロセスで消費される酸素・窒素・アルゴンなどの工業ガス需要増加を直接取り込む構造にあります。日本製鉄USスチールへの投資拡大が国内製鉄所の電炉転換を加速させる場合、同社の既存供給ネットワークを通じた大口需要の獲得余地が拡大します。製鉄向け長期ガス供給契約の積み上げは同社の安定収益基盤を強化します。
経路国内電炉・DRI設備への投資拡大(製鉄工程での工業ガス消費量増加)エア・ウォーターの製鉄所向け液化ガス供給契約の拡大(既存インフラ活用で追加投資少額)産業ガス事業セグメントの売上高・利益率向上

打撃を受ける可能性がある企業

東京ガス9531

根拠製鋼向け大口ガス供給は東京ガスの産業用ガス収益の重要な柱ですが、水素直接還元製鉄への移行シナリオが現実化するにつれ、製鋼向け天然ガス大口契約が水素に置き換わり、中長期の販売量見通しの修正圧力が生じます。都市ガス事業における産業用需要の構成比が高い同社にとって、鉄鋼セクターからの需要減少は売上高の下押し要因となります。移行期間中も単価交渉力の低下リスクが顕在化します。
経路水素直接還元製鉄への投資加速(製鋼向け天然ガス需要の長期上限観測引き下げ)東京ガスの産業用大口ガス契約の更新交渉力低下・販売量減少リスク顕在化産業用ガス事業の売上高・利益率への下押し圧力

大阪ガス9532

根拠大阪ガスは関西圏の製鉄所・重工業向けに産業用ガスを供給しており、製鋼向け天然ガス需要が水素に代替されるシナリオでは、大口産業契約の更新時に販売量の減少圧力を受けます。水素移行が中長期トレンドとして織り込まれると、新規設備投資の対象としての製鋼向けガスインフラの優先度が低下し、将来の収益成長余地が縮小します。既存の産業用ガス供給網の収益性悪化が財務指標に影響を与えます。
経路製鋼向け水素直接還元移行シナリオの現実化(天然ガスの長期需要上限観測の低下)大阪ガスの関西圏製鉄所向け大口ガス契約の更新困難・単価下押し圧力産業用ガス事業セグメントの売上高・利益への継続的な下押し

Cheniere Energy Inc.LNG

根拠Cheniere Energyは米国最大のLNG輸出大手であり、製鋼向け天然ガス需要は同社の重要な輸出先需要を形成します。日鉄のDRI投資が当面はLNG需要を支える一方、水素直接還元への移行シナリオが普及するにつれて製鋼向けLNG需要の長期成長余地が縮小し、新規輸出契約の獲得競争が激化します。製鋼業向け供給の需要減少リスクは、同社のLNG液化・輸出ターミナルの稼働率見通しを下方修正させる圧力となります。
経路水素直接還元製鉄の普及進展(製鋼向けLNG長期需要の上限観測引き下げ)Cheniere Energyの新規長期輸出契約締結の難化・既存契約更新時の交渉力低下LNG液化ターミナル稼働率・売上高成長見通しへの下押し圧力

JGC日立1685

根拠JGC日立はガス田開発・LNGプラントのエンジニアリングを主力事業とし、新規LNG液化設備の建設受注が収益の根幹を成します。製鋼向け水素直接還元移行が加速すると、製鋼業向けLNG需要の長期成長シナリオが後退し、新規LNG設備の発注計画が縮小・延期されます。エンジニアリング受注パイプラインの減少は、同社の売上高・利益計上の時間軸を長期化させ、受注残高の積み上がりペースを鈍化させます。
経路製鋼向け天然ガス需要の長期上限観測低下(LNG新規設備発注計画の縮小・延期)JGC日立のLNGプラントエンジニアリング受注パイプラインの縮小売上高・利益計上ペースの鈍化と受注残高積み上がりの減速

日本ガイシ5333

根拠日本ガイシは工業用セラミクスで水素製造関連の材料供給を手がける一方、既存の産業向けセラミクス製品ラインの一部は高炉・ガス系製鉄プロセスに依存します。電炉・水素還元への転換が加速すると、高炉向けセラミクス製品の需要が減少し、既存製品ラインと新規需要のバランスが崩れる転換点を迎えます。水素製造向け新製品への移行が間に合わない局面では、既存事業セグメントの稼働率低下と収益性悪化が生じます。
経路高炉から電炉・水素還元製鉄への転換加速(高炉向けセラミクス製品需要の構造的減少)日本ガイシの既存製品ラインの稼働率低下・単価下落圧力新規水素関連製品への移行ギャップ期における収益性悪化

Linde plcLIN

根拠Lindeは鉄鋼向け工業ガス(酸素・窒素・水素)供給で世界的な地位を持ちますが、日本製鉄の投資拡大を背景に国内製鉄向けではエア・ウォーターなど地場プレイヤーとの調達競合が強まります。加えて、水素直接還元製鉄向け水素供給市場ではPlug Powerなど電解槽専業メーカーが参入を拡大しており、Lindeが従来担ってきた製鋼向けガス供給の市場シェアへの侵食圧力が高まります。競合激化は単価・マージンの下押し要因となります。
経路電炉・水素還元投資拡大による製鋼向けガス市場の再編(地場プレイヤー・電解槽専業メーカーの参入増加)Lindeの製鋼向け工業ガス供給シェアへの競合圧力増大製鋼セグメントの単価・マージン低下と市場シェア維持コストの上昇
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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