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著者: かぶてぃー|公開: 2026年5月20日|更新: 2026年5月20日

防衛費11兆円で動く関連銘柄2026|三菱重工・川崎重工から意外な恩恵先まで

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日本政府は2025年度補正予算に防衛力強化分1兆1,000億円を上積みし、2025年度防衛費の総額を約11兆円とした。これにより、当初2027年度の達成目標としていたGDP比2%を2年前倒しで実現した(株探ニュース 2025年12月20日)。2026年度防衛関係予算は前年度当初予算比3.8%増の9兆353億円となり、12年連続で過去最大を更新した(時事ドットコム 2025年12月26日)。政府は2023年から5年間の防衛費総額を43兆円とする計画を推進しており、2022年度比でほぼ倍増する水準に達します(マネー現代 2026年5月18日)。

防衛費11兆円の確定で令和6年度調達実績トップの三菱重工業(7011)には受注残10兆円超という安定成長の構造が生まれている一方、防衛向け売上の比率が低く民需との兼ね合いで生産余力を圧迫されるIHI(7013)はサプライチェーン再編リスクを抱えています。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

防衛費増加が続くが地政学的な一時的な緊張緩和が起きた場合、予算は高止まりしたまま段階的な調達が進み業界は安定成長を続ける

直接影響を受けるセクター

機械・FA・重工

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    防衛費11兆円増加

    日本政府の明示的な政策決定で需要が確定

  2. 2
    防衛装備品の製造・組立増加

    ミサイル・戦闘機・艦船の発注が加速

  3. 3
    電子部品・センサー需要拡大

    高度化した防衛装備に電子化・通信化部品が必須

  4. 4
    半導体・通信部品メーカーへの波及

    電子部品はセンサー・制御回路向け半導体を使用

  5. 5
    防衛装備品の試験・検査需要増加

    複雑化した装備品は品質保証・検査工程が拡大

  6. 6
    防衛施設の建設・設営工事拡大

    基地建設・設営施設の土木工事が増加

防衛費11兆円で変わる調達構造と関連銘柄への影響

防衛装備庁が公表した令和6年度の中央調達実績によると、三菱重工業(7011)が1兆4,567億円(238件)で首位に立ち、川崎重工業(7012)が6,383億円(133件)で続きます。川崎重工業の防衛装備品契約は前年比64.2%増で、2025年3月期は受注高・売上高・事業利益がいずれも過去最高を更新しました(かぶリッジ 2026年3月13日)。三菱重工業の受注残は10兆7,000億円に達しており、2021年度に6,651億円だった防衛・宇宙事業の年間受注高は2024年度には1兆8,768億円へ拡大しています。

注目すべきは利益率の改善です。防衛装備の想定営業利益率は従来8%が目安でしたが、2023年度には最高15%まで引き上げられました(マネー現代 2026年5月18日)。量が増えるだけでなく、1件あたりの利益が厚くなる構造が定着しています。同じ重工大手でもIHI(7013)は受注残1兆5,000億円超を抱える一方、エンジン事業で民間航空向けとの生産ラインを共有する部分があり、防衛向け生産の急拡大が民需との調整コストを生む局面があります。

防衛関連銘柄の裾野—電子部品・素材メーカーへの実需

現代の防衛装備品は電子化・ネットワーク化が進んでおり、ミサイル誘導や艦艇の戦闘管理システムには高精度センサーと制御半導体が不可欠です。令和6年度調達実績では日本電気(6701)が3,117億円(282件)、富士通(6702)が1,736億円(144件)と、通信・情報システム大手も主要サプライヤーとして名を連ねています(防衛省・防衛装備庁調達実績 / マネー現代 2026年5月18日)。両社は防衛向けが売上全体に占める比率が限られるため、予算増の恩恵が株価に反映されるまでのタイムラグが生じやすい構造にあります。

一方、日本製鋼所(5631)は砲身・砲架向けの特殊鋼加工に独自の地位を持ち、装備品の量産加速が直接的な受注増につながります。信越化学工業(4063)は防衛・航空宇宙向けに使われる高純度シリコンおよびエポキシ樹脂の供給元として、電子部品の高度化需要と連動します。住友電気工業(5802)やセイコーエプソン(6724)は防衛向け特殊ケーブル・精密光学部品を手がけていますが、民需比率の高さから防衛予算拡大のインパクトが分散しやすい面もあります。

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個人投資家が見落とす防衛施設・精密部品の隠れた需要

装備品の調達増と並行して進むのが基地・演習場・備蓄施設の整備です。防衛省の令和8年度予算案には施設整備費の大幅増が含まれており、土木・建設工事の発注が複数年にわたって持続します。

電子部品の品質保証・検査工程も拡大します。装備品の複雑化が進むほど試験・検査の工数が増え、検査装置や自動化設備の需要が底堅くなります。多摩川ホールディングス(6838)は防衛・航空向け精密電子機器でニッチな顧客基盤を持ち、装備品の高性能化が続く局面で受注単価の上昇圧力が加わります。CKD(6407)は精密空圧・電磁弁部品で防衛・産業両用の製品群を展開しており、装備品の製造ライン自動化需要と検査工程の拡大が複合的に作用する位置にあります。トヨタ自動車(7203)は自衛隊向け車両を手がけていますが、防衛向けは売上のごく一部であり、全体業績への影響は他の重工・部品メーカーとは異なる次元にとどまります。大型装備品に比べて地味に見えるこの層こそ、日本経済新聞が指摘するように「地味な銘柄が狙い目」という視点と重なります。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

三菱重工業7011

根拠防衛装備庁の令和6年度中央調達実績で1兆4,567億円(238件)の首位を獲得し、受注残は10兆7,000億円に達します。防衛・宇宙事業の年間受注高は2021年度の6,651億円から2024年度には1兆8,768億円へ約2.8倍に拡大しました。さらに防衛装備の想定営業利益率が最高15%まで引き上げられたことで、量・単価・利益率の三拍子が揃い、2026年3月期の事業利益は前期比15.5%増の4,100億円を見込みます。
経路防衛費11兆円規模への拡大(5カ年43兆円計画)装備品調達首位として受注残10兆7,000億円が積み上がる(複数年の売上・利益を確保)利益率上限15%への引き上げで1件あたり利益が厚くなり事業利益率が構造的に改善します

川崎重工業7012

根拠令和6年度防衛装備品契約額は6,383億円(133件)で前年比64.2%増となり、2025年3月期は受注高・売上高・事業利益がいずれも過去最高を更新しました。受注残は2兆7,000億円に達しており、2031年3月期までに事業利益率10%超を目指す中期計画のもと、防衛向けの量産体制拡充が利益率改善を加速させます。防衛費の5カ年43兆円計画により、潜水艦・ヘリコプター等の主要装備品の継続発注が見込まれます。
経路防衛費GDP比2%の前倒し達成(2025年度11兆円規模)潜水艦・ヘリコプター等の量産発注増加(前年比64.2%増の実績が示す急拡大トレンド)受注残2兆7,000億円を消化しながら事業利益率10%超へ改善します

日本製鋼所5631

根拠砲身・砲架向け特殊鋼加工において国内で独自の地位を持ち、防衛装備品の量産加速が直接的な受注増につながります。5カ年43兆円の防衛費計画のもとで火砲・装甲車両関連の調達件数が増加し、同社が持つ大型鍛造・高圧加工設備のフル活用が続きます。民間代替が困難な特殊鋼加工能力は供給制約を生み、量産需要に応じた単価交渉力の強化にも直結します。
経路防衛費拡大による火砲・装甲装備品の調達増(件数・ロットサイズの拡大)国内唯一級の砲身向け特殊鋼加工能力がフル稼働(代替困難な専業ポジション)受注増加と単価上昇が重なり売上・利益が拡大します

信越化学工業4063

根拠防衛・航空宇宙向けに使われる高純度シリコンおよびエポキシ樹脂の主要供給元として、装備品の電子化・高度化需要と直接連動します。ミサイル誘導システムや艦艇の戦闘管理システムに使われる制御半導体・封止材料の需要は、防衛費拡大に伴う調達件数増に比例して拡大します。高純度シリコンは製造に高い技術障壁があり、需要増局面で供給側の価格交渉力が強まり採算が改善します。
経路防衛装備品の電子化・ネットワーク化加速(制御半導体・センサーの搭載増)高純度シリコン・エポキシ樹脂の防衛・航空宇宙向け需要が拡大(調達件数増に比例)技術障壁の高い素材の価格交渉力が強まり採算が改善します

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

多摩川ホールディングス6838

根拠防衛・航空向け精密電子機器分野でニッチな顧客基盤を持ち、装備品の高性能化・電子化が進む局面で受注単価の上昇圧力が直接作用します。現代の防衛装備はセンサー・制御システムの高精度化が必須であり、精密電子機器の品質要件が厳格化するほど代替が困難な専業メーカーへの依存度が高まります。防衛費の継続的拡大が装備品の件数増と高性能化を同時に進め、同社の受注単価と受注件数の双方を押し上げます。
経路防衛装備品の高性能化・電子化加速(センサー・制御系の高度化需要)精密電子機器のニッチ専業メーカーとして代替困難な地位を確立(顧客ロックイン)受注単価上昇と件数増が複合的に作用して売上・利益を押し上げます
意外な波及

CKD6407

根拠精密空圧・電磁弁部品で防衛・産業両用の製品群を展開しており、装備品の製造ライン自動化需要と検査工程の拡大が複合的に作用する位置にあります。防衛装備品の調達件数増加は製造ラインの自動化設備投資を促し、精密空圧・電磁弁部品の需要を直接押し上げます。さらに装備品の複雑化が検査工数を増やし、自動化された検査ラインへの同社部品採用が拡大します。
経路防衛調達件数増加による装備品製造ライン増強(自動化投資の活発化)精密空圧・電磁弁部品の産業・防衛両用需要が同時拡大(デュアルユース製品群の強み)製造自動化と検査工程の複合需要が受注を押し上げます

打撃を受ける可能性がある企業

IHI7013

根拠受注残1兆5,000億円超を抱え防衛向け恩恵を受ける一方、エンジン事業で民間航空向けと防衛向けの生産ラインを共有する構造があり、防衛向け生産の急拡大が民需との調整コストを生みます。民間航空エンジンの需要回復が続く中で防衛向けへのラインシフトが求められると、民需の納期遅延や追加調達コストが発生します。防衛・民需双方の受注増が同時に進む局面では、生産能力の制約がコスト上昇として顕在化し、利益率の改善速度を他の重工大手と比べて鈍化させます。
経路防衛向け生産急拡大の要請(調達件数・ロットサイズの増加)民間航空エンジンと共有する生産ラインで調整コストが発生(ラインシフト・優先順位調整の摩擦)両需要の競合が利益率改善を鈍化させます

日本電気6701

根拠令和6年度の防衛装備庁調達で3,117億円(282件)を受注し主要サプライヤーとして名を連ねますが、防衛向けが売上全体に占める比率は限られます。通信・情報システム事業全体の中で防衛向けの構成比が低いため、防衛予算増の恩恵が全社業績に反映されるまでのタイムラグが生じます。また防衛向け情報システムは長期契約・入札競争が主体であり、予算増が即座に単価上昇や利益率改善につながりにくい構造にあります。
経路防衛向け売上比率の低さ(全社売上に占める比率が限定的)防衛予算増の恩恵が全社業績に薄まって反映(タイムラグと希薄化効果)株価への織り込みが重工・専業メーカーと比較して遅れます

富士通6702

根拠令和6年度の防衛装備庁調達で1,736億円(144件)を受注していますが、防衛向けが売上全体に占める比率は限定的です。ITサービス・デジタルトランスフォーメーション事業が売上の主軸であり、防衛予算増の恩恵は全社収益への寄与度が低い水準にとどまります。防衛向け情報システムは競争入札が主体で価格交渉余地が限られるため、防衛費増額が利益率の直接的な押し上げにつながりにくい構造にあります。
経路防衛向け契約比率の低さ(ITサービス主体の売上構造)防衛予算増の恩恵が全社業績に希薄化(セグメント寄与度が低い)競争入札構造が利益率改善の波及を制限します

トヨタ自動車7203

根拠自衛隊向け車両(高機動車・軽装甲機動車等)を手がけていますが、防衛向けは売上のごく一部にとどまり、全体業績への影響は他の重工・部品メーカーとは異なる次元にあります。年間売上高40兆円超の規模に対して防衛向け車両の受注増は誤差の範囲内であり、株価や業績評価の主軸は為替・EV競争・北米関税政策に置かれます。防衛費増の恩恵よりも、円高進行や米国関税強化による販売・採算への下押しリスクのほうが業績インパクトとして大きく作用します。
経路防衛向け車両の売上比率が極めて低い(全社売上40兆円超に対してごく一部)防衛費増の恩恵が業績評価に与える影響が軽微(為替・EV・関税リスクが主要因)防衛関連テーマとしての株価感応度が他の専業・重工メーカーと比べて著しく低くなります

住友電気工業5802

根拠防衛向け特殊ケーブルを手がけていますが、自動車用ワイヤーハーネス・光ファイバー・電力ケーブルが売上の主体であり、防衛向けの構成比が低いため防衛予算増のインパクトが分散します。自動車向けワイヤーハーネスは世界市場シェアが高い一方、EV化に伴う車両アーキテクチャ変化(ゾーン型)が従来型ハーネスの需要構造を変え、民需側での収益圧力が続きます。防衛費増による特殊ケーブル受注増は全社収益への寄与が限定的であり、民需側のコスト圧力を相殺する規模には至りません。
経路防衛向け特殊ケーブルの売上比率が低い(自動車・電力ケーブルが主体)防衛費増の恩恵が全社業績に希薄化(セグメント寄与度が限定的)EV化による民需側の収益圧力が防衛恩恵を上回るリスクが続きます

セイコーエプソン6724

根拠防衛向け精密光学部品を手がけていますが、プリンター・プロジェクター・ウォッチ等の民需向けが売上の大部分を占めており、防衛向けの構成比は低い水準にとどまります。民需向けプリンター市場はペーパーレス化の進行で成熟・縮小傾向にあり、構造的な収益圧力が続きます。防衛費増による精密光学部品の受注増は全社業績への寄与が限定的であり、民需側の市場縮小が防衛恩恵の波及を相殺します。
経路防衛向け精密光学部品の売上比率が低い(民需プリンター・プロジェクターが主体)防衛費増の恩恵が全社業績に希薄化(構成比の低さによる分散効果)ペーパーレス化による民需縮小が防衛恩恵を打ち消す方向に作用します
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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