パワー半導体市場拡大2035年7兆円超え:SiC成長で恩恵・打撃を受ける関連銘柄
富士経済は2026年4月28日、「2026年版 次世代パワーデバイス関連市場の現状と将来展望」を発表し、2035年のパワー半導体世界市場規模を2025年比95.7%増の7兆3,495億円と予測しました。内訳はシリコン系が4兆8,418億円、SiC・GaNを中心とした次世代パワー半導体が2兆5,077億円で、SiCパワーモジュール単体では2025年比5.3倍の1兆8,749億円に達する見通しです。EV販売台数の約70%に2035年時点でSiCトラクションインバーターが搭載されると分析されており、2030年頃からAIサーバー向け需要も加わって成長が再加速するとされています。酸化ガリウムパワー半導体については2027年頃から白物家電・サーバー電源向けに量産が始まり、2035年に149億円規模へ到達する予測も示されました。
2035年のパワー半導体市場規模が7兆3495億円へ倍増する予測を受け、SiC事業を拡張するローム(6963)への恩恵が見込まれる一方、従来型シリコン系小信号パワーICを主力とするPOWER INTEGRATIONS INC(POWI)は次世代素子への置き換えが進む構造的な打撃リスクを抱えています。
Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。
このニュースの前提
もし複数の新型パワー半導体が同時に量産化に成功した場合、2035年の需要急増に対応でき業界全体の供給が安定する
直接影響を受けるセクター
半導体・電子部品AIが連想した波及の流れ
- 1SiC/GaN量産化開始
新型パワー半導体の本格供給が可能に
- 2EV・産業用需要急増
2035年に市場規模7兆3495億円へ拡大
- 3製造装置投資加速
高周波焼結・精密加工装置の需要増
- 4冷却・熱管理必須化
高密度パワー半導体の放熱課題が深刻化
- 5精密配線・放熱材料需要
銅配線・セラミックス基板の高度化進行
- 6製造施設大型化・新拠点構築
2027年以降の量産体制整備に伴う建設投資
- 7産業全体の電力効率向上
従来型パワー素子の置換進行
パワー半導体市場拡大2035年7兆円超え:SiCとGaNが牽引する需給変化
富士経済が2026年4月28日に発表した調査レポートによると、パワー半導体の世界市場は2025年の3兆7,550億円から2035年には7兆3,495億円へと倍増する見通しです。成長の主役はSiCとGaNで、SiCパワーモジュールは2025年比5.3倍の1兆8,749億円、GaNパワー半導体は同5.4倍の3,169億円へ拡大すると予測されています。
現在はEV市況の低迷でSiC需要が一時的に停滞していますが、2030年頃からAIサーバー向け電源や産業用インバーターの需要が加速し、2035年時点でEV向けトラクションインバーターの約70%にSiCが搭載される水準に達するとされています。この需要構造の変化は、製造装置・放熱材料・精密配線基板という川上側の市場にも同時に作用します。高密度実装が進むほど放熱課題が深刻化し、銅配線やセラミックス基板の高度化が必須となる仕組みがあるためです。
ローム・ルネサスエレクトロニクス・Wolfspeedへの影響:恩恵銘柄と関連銘柄の動き
SiC市場の拡大で直接的な受益構造があるのはローム(6963)です。同社はSiCパワーデバイスに注力してきた国内最大手ですが、2026年3月期の決算短信では1,936億円の設備減損を計上し最終損益は1,584億円の赤字となっています。ただし今後3年間の設備投資を年平均500億円に抑える方針を示しており、コスト構造の適正化を進めながら2030年以降の需要急増期に対応する体制を整えています。
ルネサスエレクトロニクス(6723)は、2026年12月期第1四半期の連結最終利益が前年同期比2.6倍の681億円に急拡大し、売上営業利益率も23.8%へ大幅改善しています。パワー半導体の国内再編については「現時点で規模拡大を考える段階にない」と社長が発言しており、主軸はマイコン・SoC領域に置きながら周辺需要の取り込みを狙う構造です。
SiCウエハー大手のWOLFSPEED, INC.(WOLF)は2025年10月にチャプター11の再建手続きを完了し、総負債を65億ドルから約20億ドルへ約7割削減しました。既存株式は上場廃止となっていますが、財務基盤の立て直しによりSiCウエハー供給能力の維持・拡充に向けた動きが注目されています。
CKD(6407)は空圧・流体制御機器の大手として、パワー半導体製造ラインの自動化・クリーン対応装置の需要増加から恩恵を受ける位置にあります。2027年以降に予定される量産体制の大型化に伴い、製造施設向け設備投資が集中するタイミングで同社の受注機会が拡大する構造があります。
見落とされやすいダイニック・POWER INTEGRATIONSへの打撃:従来型素子の置き換えリスク
市場拡大の裏側で打撃を受ける可能性があるのが、従来型シリコン系パワーICを主力とするメーカーです。POWER INTEGRATIONS INC(POWI)は家電・産業用途向けの小型シリコン系電源ICを主力としており、次世代素子がこれらの用途に浸食するにつれて既存製品の代替圧力にさらされます。酸化ガリウムが2027年頃から白物家電・サーバー電源向けに量産される予測は、同社の主力市場に直結します。
ダイニック(3551)はテキスタイル・コーティング素材を主力とする企業ですが、電子部品向け絶縁材・封止材の用途を持っています。SiC・GaN対応の高温・高電圧環境では従来の絶縁材仕様では対応しきれないケースがあり、素材の切り替えコストと対応製品の開発負担が収益を圧迫する構造があります。同社の2026年3月期第1四半期決算では売上高110億円・営業利益6億5,800万円と小幅な成長にとどまっており、次世代パワー半導体向けの素材仕様転換への対応力が問われる局面が続きます。
パワー半導体市場の2035年に向けた成長は、恩恵企業・打撃企業ともに素材・装置・完成品の各レイヤーで構造的に分岐しています。
恩恵を受ける可能性がある企業
直接影響を受ける企業
ローム(6963)
ルネサスエレクトロニクス(6723)
CKD(6407)
意外な波及(連想チェーン2手目以降)
WOLFSPEED, INC.(WOLF)
打撃を受ける可能性がある企業
ダイニック(3551)
POWER INTEGRATIONS INC(POWI)
Chainvest
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記事制作者

かぶてぃー(Chainvest編集部)
マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始
ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。
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