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著者: かぶてぃー|公開: 2026年7月3日|更新: 2026年7月3日

半導体装置 販売見通し1兆円上方修正——東京エレクトロン・SCREENホールディングス関連銘柄への影響

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日本半導体製造装置協会(SEAJ)は2026年7月2日、2026年度の日本製半導体製造装置販売額が前年度比26%増の6兆5,502億円になるとの予測を発表しました。これは2026年1月時点のSEAJ予測(5兆5,004億円)から1兆498億円・19%の上方修正にあたります。SEAJ会長でもある東京エレクトロン(8035)社長の河合利樹氏は記者会見で、拡大の背景を「社会におけるAIの実装加速」と説明しました。世界市場でもSEMI(国際半導体製造装置材料協会)が2025年12月に発表した見通しによれば、2025年の世界装置売上高は過去最高の1,330億ドルに達し、2026年は1,450億ドル、2027年は1,560億ドルへ拡大する見込みです。

SEAJによる半導体装置販売見通しの大幅上方修正で装置需要の構造拡大が鮮明となり、2027年3月期に売上高19.7%増を見込むSCREENホールディングス(7735)への恩恵が注目される一方、装置調達コスト上昇や設備投資サイクルの変動が、半導体チップメーカーとして設備投資を受ける立場のルネサスエレクトロニクス(6723)やINTEL CORP(INTC)には調達コスト圧力というリスクをもたらします。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もしAI実装が世界で加速し新規ファブ建設が相次いだ場合、装置需要が供給能力の限界まで拡大し市場が逼迫する。

直接影響を受けるセクター

半導体・電子部品

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    AI実装加速

    先端半導体需要増でファブ投資急増

  2. 2
    装置需要限界到達

    半導体装置メーカーの供給能力飽和

  3. 3
    新規ファブ建設相次ぐ

    装置不足で顧客企業が自社建設へ転換

  4. 4
    電力消費急増

    最先端ファブの消費電力は従来比3〜5倍

  5. 5
    冷却・電力インフラ需要増

    ファブの熱管理・電源供給が経営課題化

  6. 6
    周辺産業の受注増

    建設・機械・エネルギーセクター波及

半導体装置販売見通し上方修正が示す市場拡大の規模

SEAJが2026年7月2日に発表した予測は、半年前の自社見通しを1兆円超上回るという異例の修正幅でした。2026年1月時点の予測が5兆5,004億円だったところに、7月には6兆5,502億円へと引き上げています。この背景にあるのは、AIサーバー向け先端半導体の需要急増に伴うファブ投資の加速です。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)も2025年12月に発表した市場見通しで、世界装置売上高が2027年に1,560億ドルへ到達すると予測しており、国内外のデータが同じ方向を指しています。日本経済新聞が2026年2月に報じた主要9社の2026年1〜3月期売上高も前年同期比16%増と3四半期ぶりの2ケタ増収となっており、装置需要の回復が数字で裏付けられています。

装置供給能力が市場の伸びに追いつかない局面では、リードタイムの長期化と受注残の積み上がりという構造が生じます。これは装置メーカーの価格交渉力を高める一方、チップメーカー側には調達コスト上昇と生産計画の不確実性をもたらします。APPLIED MATERIALS INC(AMAT)やルネサスエレクトロニクス(6723)、INTEL CORP(INTC)は、装置調達の競合激化という形でこの構造に直面します。

東京エレクトロン・SCREENホールディングス・LAM RESEARCHの業績動向

装置メーカーの数字はすでにこの流れを反映しています。東京エレクトロン(8035)の2025年3月期売上高は2兆4,315億円(前期比+32.8%)、営業利益6,973億円(同+52.8%)と過去最高を達成しました。SCREENホールディングス(7735)は2026年3月期に一時的な減収減益となったものの、2027年3月期の業績予想を売上高7,250億円(前期比+19.7%)、営業利益1,500億円(同+22.4%)と2期ぶりの過去最高益更新に設定しており、市場拡大への確信を示しています。米国のLAM RESEARCH CORP(LRCX)も2026年2〜4月期売上高が前年同期比11%増の79.1億ドル、EPSが同20%増の2.86ドルと市場予想を上回っており、エッチング装置という特定工程でのニッチな強みが安定した受注につながっています。

一方、半導体テスタを手がけるアドバンテスト(6857)は2026年3月期に売上高1兆1,286億円(前年度比44.7%増)、営業利益4,059億円(同86.7%増)という過去最高業績を達成しましたが、装置メーカーとして投資を受ける立場ではなくテスト工程に特化するため、前工程装置投資の急拡大局面では相対的な恩恵が薄れる構造があります。京セラ(6971)やオリジン(6513)も、チップメーカーの設備投資計画の変動に受注が連動するため、装置市場の拡大が直接の利益につながる回路は限られています。

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見落とされやすいファブ建設・冷却インフラ銘柄への影響

装置需要の急拡大が最終的に新規ファブ建設の増加を引き起こすと、その先に全く異なる産業が動き出します。最先端の半導体工場は消費電力が従来比3〜5倍に達するとされており、熱管理と電源供給が工場運営の核心課題になります。ここで受注機会が生まれるのが、大型建築・インフラ工事を手がける清水建設(1803)と、産業用空調・冷却ソリューションを供給するダイキン工業(6367)です。半導体ファブの建設工事は長期大型案件となり、クリーンルームの精密な温湿度管理が不可欠なため、両社が持つ技術と施工実績は競合参入を難しくする参入障壁を形成しています。装置メーカーの受注拡大が設備投資を呼び込み、その投資がファブ建設需要を生み、ファブ建設がインフラ企業の売上を押し上げるという連鎖は、半導体装置市場の数字だけを追っていると見えにくい構造です。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

東京エレクトロン8035

根拠SEAJが2026年7月に発表した日本製半導体製造装置の販売額予測は6兆5,502億円(前年度比26%増)と1月時点から1兆498億円上方修正されており、東京エレクトロンは国内トップシェアの装置メーカーとしてこの需要拡大を直接取り込みます。2025年3月期売上高は2兆4,315億円(前期比+32.8%)、営業利益6,973億円(同+52.8%)と過去最高を達成しており、FY2027上期は売上高1兆5,700億円・営業利益4,310億円を計画するなど、AIサーバー向け先端半導体ファブ投資の加速が継続的な受注増を支えます。
経路AIサーバー向け先端半導体需要急増(ファブ投資加速)国内最大手装置メーカーとして前工程装置の受注残・リードタイム長期化(価格交渉力向上)売上高・営業利益が過去最高水準を更新

SCREENホールディングス7735

根拠SCREENホールディングスは洗浄装置で高いシェアを持つ半導体製造装置メーカーであり、2027年3月期の連結業績予想は売上高7,250億円(前期比+19.7%)・営業利益1,500億円(同+22.4%)と2期ぶりの過去最高益更新を見込んでいます。SEAJ予測でも2026年度の日本製装置販売額が前年度比26%増と大幅拡大が見込まれており、洗浄工程の需要がファブ投資拡大とともに増加します。2026年3月期の減収減益は一時的な需要調整によるものであり、AI関連投資の本格化が2027年3月期以降の業績を押し上げます。
経路ファブ投資加速(AI向け先端ロジック・メモリ増産)洗浄工程装置の受注回復・積み上がり(FY2027売上高+19.7%予想)2期ぶり過去最高営業利益1,500億円更新

清水建設1803

根拠半導体装置販売額の急拡大は最終的に新規ファブ建設の増加をもたらし、清水建設はクリーンルーム施工実績と技術力で国内トップクラスの地位を持つ大手ゼネコンとして大型受注を取り込みます。最先端半導体工場は消費電力が従来比3〜5倍に達するため、精密な温湿度管理・振動制御・超純水供給設備を含む高難度施工が必要となり、施工実績の少ない競合が参入しにくい構造となっています。ファブ建設は1案件あたり数千億円規模の長期大型工事となるため、受注1件が数年分の安定売上に直結します。
経路SEAJ予測上方修正(装置販売6兆5,502億円)国内外での新規ファブ建設案件増加(クリーンルーム高難度施工の需要拡大)清水建設の大型長期工事受注積み上がりと売上高・営業利益の押し上げ

ダイキン工業6367

根拠先端半導体ファブの消費電力は従来比3〜5倍に達するとされており、クリーンルームの精密温湿度管理・大規模冷却設備の需要が急増します。ダイキン工業は産業用空調・冷却ソリューションで国内外トップシェアを持ち、ファブ向け精密空調システムの設計・施工・保守を一体提供できる数少ないサプライヤーです。ファブ1棟あたりの空調・冷却設備投資は数十億〜数百億円規模に上るため、ファブ建設ラッシュが同社の産業用空調セグメントの受注単価と受注件数をともに押し上げます。
経路ファブ建設増加(先端半導体工場の消費電力3〜5倍化)精密温湿度管理・大規模冷却システムの需要急増(1棟あたり数十億〜数百億円規模)ダイキン工業の産業用空調受注拡大と高付加価値製品の売上比率上昇

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

LAM RESEARCH CORPLRCX

根拠Lam Researchはドライエッチングおよびデポジション装置でニッチな高シェアを持ち、先端ロジック・3D NAND工程における代替困難な地位が安定受注に直結します。FY2026第2四半期(2026年2〜4月期)売上高は前年同期比11%増の79.1億ドル、EPSは同20%増の2.86ドルと市場予想(売上76.8億ドル、EPS2.68ドル)をいずれも上回っており、装置供給能力が需要に追いつかない局面での価格交渉力の高さを示しています。SEMI予測で世界装置売上高が2027年に1,560億ドルへ拡大する中、同社の特定工程ニッチが収益成長を加速させます。
経路エッチング・デポジション工程での代替困難なニッチシェア(競合参入障壁)ファブ投資加速局面での受注単価上昇と納期プレミアム(EPS前年同期比+20%)世界装置市場1,560億ドル到達に向けた持続的な売上・利益拡大

打撃を受ける可能性がある企業

アドバンテスト6857

根拠アドバンテストは2026年3月期に売上高1兆1,286億円(前年度比44.7%増)・営業利益4,059億円(同86.7%増)と過去最高業績を達成しているものの、同社の主力はテスト工程(後工程)に特化した半導体テスタであり、今回のSEAJ上方修正が示す前工程装置投資の急拡大局面では相対的な資金・注目・受注が前工程装置メーカーへ集中します。ファブオペレーターの設備投資予算はリソグラフィ・エッチング・成膜装置に優先配分されるため、テスト装置への投資配分比率が低下し、アドバンテストの受注成長率が前工程装置各社に比べ見劣りする構造になります。
経路前工程装置需要急拡大(SEAJ予測+1兆498億円上方修正)ファブ設備投資予算の前工程装置への優先配分(テスト装置の相対的配分低下)アドバンテストの受注成長率が前工程装置メーカー対比で劣後

京セラ6971

根拠京セラはセラミックパッケージや電子部品をチップメーカーへ供給しており、チップメーカーの設備投資計画の変動に受注が連動する構造を持ちます。半導体装置市場の拡大局面では、チップメーカーが前工程装置調達にキャッシュフローを集中させるため、後工程・パッケージング関連部材への投資判断が後回しにされる傾向があります。加えて、装置リードタイム長期化によりチップメーカーの生産計画の不確実性が高まり、パッケージ部材の発注量の見通しが立てにくくなることで、京セラへの発注平準化・抑制が発生します。
経路前工程装置調達競争激化(リードタイム長期化・調達コスト上昇)チップメーカーのキャッシュフロー優先配分が前工程装置へ集中(後工程部材発注の後回し)京セラの電子部品・パッケージ受注の伸び鈍化

APPLIED MATERIALS INC /DEAMAT

根拠Applied Materialsは成膜・CVD・イオン注入など幅広い前工程装置を手がけていますが、装置供給能力が市場需要の伸びに追いつかない局面では、Lam ResearchやASMLなど特定工程でニッチシェアを持つ競合との顧客獲得競争が激化します。装置調達の競合激化はApplied Materialsの顧客であるチップメーカーの調達コストを押し上げ、チップメーカーが装置選定においてより厳格なコスト・納期交渉を行うことで、Applied Materialsの値引き圧力と納期ペナルティリスクが高まります。また米中対立下での輸出規制強化は中国向け売上の制約要因となり、成長市場へのアクセスを一部遮断します。
経路装置需要急拡大(SEAJ+26%・SEMI予測1,560億ドル)特定工程ニッチ強者との顧客獲得競争激化(Applied Materialsの広範な製品ラインがニッチ専業に対し値引き圧力を受けやすい)輸出規制による中国向け売上制約が重なり相対的な収益成長率が抑制

オリジン6513

根拠オリジンはウエーハ洗浄液・薬液などの半導体製造用化学品を供給しており、チップメーカーの生産稼働率と設備投資計画に売上が直結します。装置市場が急拡大する局面ではチップメーカーの設備投資予算が装置調達に優先配分され、薬液などのコンサマブル調達コストの見直し・削減圧力が高まります。また装置のリードタイム長期化によりラインの立ち上げ時期が後ずれすると、薬液の消費量増加タイミングも遅延するため、オリジンの売上計上が後ろ倒しになります。
経路装置調達コスト上昇・リードタイム長期化(チップメーカーのライン立ち上げ後ずれ)半導体製造用薬液の消費量増加タイミングの遅延(売上計上の後ろ倒し)オリジンの売上成長率が装置市場拡大ペースに比べ遅行

ルネサスエレクトロニクス6723

根拠ルネサスエレクトロニクスは自社ファブを持つIDMであり、前工程装置の調達競争が激化する局面では装置の調達コスト上昇と納期の不確実性が直接の経営リスクになります。SEAJ予測の大幅上方修正が示す装置需要の急増は、ルネサスを含むチップメーカー間での装置確保競争を激化させ、装置メーカーの価格交渉力が高まる分だけチップメーカー側のマージンを圧迫します。加えて生産計画の不確実性が高まることで、顧客への製品供給コミットメントの信頼性低下リスクも発生します。
経路装置需要急拡大による供給タイト化(装置メーカーの価格交渉力向上)ルネサスの前工程装置調達コスト上昇・納期長期化(生産計画の不確実性拡大)製造コスト増加とチップ供給コミットメントの信頼性低下

INTEL CORPINTC

根拠Intelは自社ファブ(Intel Foundry)を抱えるIDMとして前工程装置を大量調達する立場にあり、装置需要の急拡大局面では装置の確保が困難化し調達コストが上昇します。TSMC・Samsungなどのファウンドリーとの装置確保競争でIntelが後手に回ると、最先端プロセスの歩留まり改善や生産立ち上げがさらに遅延するリスクが高まります。加えて米中輸出規制の強化は中国市場向け製品の販路を制約しており、装置コスト上昇と市場アクセス制限が同時に収益を圧迫します。
経路装置供給タイト化(SEAJ予測前年度比+26%の需要増)TSMC・Samsung等との装置確保競争でIntelの調達コスト上昇・先端ライン立ち上げ遅延リスク増大製造コスト増加と先端プロセス競争力低下が重なり収益圧迫
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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