三菱ケミカル・日本製鋼所がGaN生産3倍増、次世代パワー半導体・EV関連銘柄への影響
三菱ケミカルグループ(4188)と日本製鋼所(5631)は、次世代パワー半導体基板に用いる窒化ガリウム(GaN)の生産能力を2027年4月をめどに2021年度比3倍に引き上げると発表しました(日本経済新聞 2026年7月8日)。両社はすでに2026年4月に2021年度比2倍へ増強を完了しており、日本製鋼所の室蘭製作所と三菱ケミカルの茨城県拠点でさらに設備を積み増す計画です。GaN基板はシリコンより耐電圧性能が高く、先行材料のSiCと比べて電流を高速制御でき電力損失を抑えられる点が特徴です。用途として電気自動車(EV)の高速充電器やデータセンター電源が主なターゲットに挙げられています。
三菱ケミカルグループ(4188)と日本製鋼所(5631)のGaN基板増産でEV・データセンター向け次世代パワー半導体の供給体制が整う恩恵が見込まれる一方、SiC関連に先行投資してきたローム(6963)はGaN台頭による市場シェア争いのリスクを抱える可能性があります。
Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。
このニュースの前提
もし中国勢の低価格GaN製品が市場を席巻した場合、日本勢の供給過剰となり投資回収が困難になる
直接影響を受けるセクター
素材・化学AIが連想した波及の流れ
- 1GaN基板生産3倍増
EV・DC電源向け次世代パワー半導体の供給開始
- 2EV高速充電器需要急増
GaN採用で電力損失削減・小型化実現
- 3充電インフラ整備加速
EV普及に必須のチャージングネットワーク拡大
- 4データセンター電源刷新
AI学習負荷増加で高効率DC電源の必須化
- 5半導体製造装置需要拡大
GaN基板大口径化対応で製造装置の需要増加
- 6EV用パワコン生産増加
GaN採用インバーター搭載の次世代EV拡大
GaN基板3倍増産で次世代パワー半導体の需給構造はどう変わるか
三菱ケミカルグループ(4188)と日本製鋼所(5631)が共同開発するGaN基板は、日本経済新聞 2026年7月8日が報じた通り、2027年4月に2021年度比3倍の生産能力を目指しています。同社は2024年11月にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプログラムにも採択されており、6インチGaNウエハの量産技術開発を加速させる方針です(マネクリ/マネックス証券 2025年10月16日)。
GaNがEV・データセンター向けに訴求できる理由は明確な物理特性にあります。シリコンより高電圧に耐えられ、SiCと比べて電流のスイッチング速度が速いため電力損失を圧縮できます。EVの高速充電器では充電時間の短縮に直結し、データセンターではAI学習の電力コスト削減に直結します。この特性が認知されるほど、GaN基板への需要は量・品質ともに引き上げられます。三菱ケミカルグループの2026年3月期第3四半期決算説明資料によれば、半導体関連需要は堅調を維持しており、スペシャリティマテリアルズ事業が前年同期比118億円の増益となっています(三菱ケミカルグループ 決算説明資料 2026年2月5日)。
東京エレクトロン(8035)ら製造装置銘柄への影響と、SiC先行のローム・信越化学が抱える競合圧力
GaN基板の大口径化・量産化が進む局面では、対応する半導体製造装置の更新サイクルが生じます。東京エレクトロン(8035)は国内の半導体製造装置最大手であり、GaN対応の成膜・加工装置の需要拡大に対応できる位置にあります。加賀電子(8154)はパワー半導体デバイスの流通実績を持ち、GaN採用インバーター搭載EVの普及に伴う調達需要の窓口になり得ます。
一方で、SiCを主戦場に大型投資を進めてきたメーカーには競合圧力が生じます。ローム(6963)はSiCパワー半導体で国内トップを目指して設備投資を積み上げてきましたが、東洋経済オンラインが報じた通り、SiC需要の踊り場でリストラにも着手しており、GaN台頭が重なると投資回収の時間軸がさらに延びます。ルネサスエレクトロニクス(6723)もパワー半導体ラインナップでSiCを中心に据えており、GaNシフトへの対応コストが発生します。
信越化学工業(4063)はシリコンウエハで世界首位を誇りますが、GaN・SiCへの需要シフトはシリコン基板の成長余地を徐々に狭める構造があります。日本経済新聞 2026年4月によれば、信越化学の2026年3月期連結純利益はすでに前期比11.2%減となっており、次世代材料競合の長期圧力と重なります。日本高純度化学(4973)も半導体向け高純度薬品を主力としており、シリコン系プロセスの比率が高い事業構造が影響を受けます。
見落とされやすいEV充電インフラ・データセンター電源への波及
GaN採用が広がる最大の受益は、EV高速充電器とデータセンター電源という「電力変換装置」の市場です。GaNパワー半導体を搭載したインバーターは小型・高効率を実現するため、充電ステーションの設置コスト削減とデータセンターの冷却負荷低減の両方に寄与します。スタンレー電気(6923)は車載向け光源・電装部品が主力ですが、EV向け電装システム全体の設計が次世代パワー半導体を前提に組み直される局面では、部品調達先や設計仕様の見直し圧力が生じます。
ただし、シナリオ仮説として無視できないのは、中国メーカーによる低価格GaN製品の台頭です。GaN基板の製造技術が中国勢に横展開された場合、日本勢が今回積み増す設備の稼働率が下振れするリスクがあります。三菱ケミカルグループがEV電池向け電解液の米英拠点を2026年3月に売却したように(日本経済新聞 2025年12月12日)、市場環境の変化への対応速度が増産投資の成否を分ける構造があります。
恩恵を受ける可能性がある企業
直接影響を受ける企業
三菱ケミカルグループ(4188)
日本製鋼所(5631)
東京エレクトロン(8035)
意外な波及(連想チェーン2手目以降)
加賀電子(8154)
打撃を受ける可能性がある企業
信越化学工業(4063)
日本高純度化学(4973)
ローム(6963)
ルネサスエレクトロニクス(6723)
スタンレー電気(6923)
Chainvest
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Chainvestを試す参考資料
- 三菱ケミカル・日本製鋼所、次世代パワー半導体材料の生産能力5割増 - 日本経済新聞
- 【日本株】AI時代の次世代材料、日本が先行するGaNパワー半導体 | 和島英樹の発掘!注目株 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
- 三菱ケミカルグループ株式会社 2026 年3 月期 第3 四半期決算説明会 2026 年2 月5 日
- 三菱ケミG、EV向け電解液の米英拠点売却 生産能力4割減 - 日本経済新聞
- 信越化の26年3月期、純利益11.2%減 - 日本経済新聞
- ロームを苦しめる「SiCパワー半導体バブル」の後遺症→世界トップを目指した大勝負から一転、リストラ着手で"過剰投資"の重すぎるツケ | 特集 | 東洋経済オンライン
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記事制作者

かぶてぃー(Chainvest編集部)
マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始
ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。
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