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著者: かぶてぃー|公開: 2026年7月10日|更新: 2026年7月10日

ラピダスがTSMC以下の価格を宣言——信越化学・東京エレクトロン・TOWAなど関連銘柄への影響

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ラピダスの小池淳義社長は2026年7月8日、長野県軽井沢町で開催されたイベントで講演し、2ナノメートル半導体の受託生産価格をTSMC(台湾積体電路製造)と同等かそれ以下に設定する方針を表明しました(共同通信 2026年7月8日)。参考価格としてウエハー1枚あたり300万〜350万円という水準が示され、実際の販売価格は為替動向により変動する予定です(Traders Union 2026年7月8日)。ラピダスは2027年度後半の2ナノ量産を目標とし、海外企業を中心に60社以上と受注交渉を進めています。同社はトヨタ自動車・NTT・ソニーグループなど日本企業8社が設立した会社で、政府補助金による支援も受けています(日本経済新聞 2026年7月8日)。

ラピダスのTSMC以下価格方針によって国内2ナノ量産体制が現実味を帯び、シリコンウエハーを供給する信越化学工業(4063)への素材需要が直結する一方、TSMCへの依存度が高いソニーグループ(6758)は調達先の価格競争激化に伴うサプライチェーン再編リスクを抱える可能性があります。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし2027年度に予定通り2ナノ量産が成功した場合、競争力ある価格で国内外の顧客を順次確保し事業が本格化する。

直接影響を受けるセクター

半導体・電子部品

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    ラピダス2ナノ量産成功

    国内半導体製造基盤確立による需要急増

  2. 2
    素材・化学需要拡大

    ウエハー・ガス・化学品の国内調達シフト

  3. 3
    製造装置・プラント工事増加

    長野軽井沢など国内工場建設・拡張投資

  4. 4
    建設・設備工事セクター波及

    大型ファブ建設の土木・電気工事需要

  5. 5
    エネルギー・電力需要増加

    最先端ファブの消費電力(年間数十MW)拡大

  6. 6
    物流・運搬インフラ整備

    国内ファブから顧客への高精度部品輸送需要

ラピダスのTSMC以下価格方針が国内サプライチェーンに生む需要構造

共同通信 2026年7月8日が伝えたように、小池社長は「値段で負けるわけにはいかない」と述べ、ウエハー1枚あたり300万〜350万円という参考価格をTSMCの水準に合わせる方針を明確にしました。60社以上との交渉が進む中で受注が積み上がれば、北海道千歳のファブで消費される素材・化学品の調達量が急増します。

この構造で最初に恩恵が及ぶのが、半導体向けシリコンウエハーで国内首位の信越化学工業(4063)です。同社の2026年3月期は売上高2兆5,739億円と増収を確保し、電子材料事業は好調を維持しています(Yahoo!ファイナンス 2026年4月28日)。ラピダスが2ナノ量産に移行すれば、高純度ウエハーの長期・大口調達先として国内サプライヤーへの発注が集中する構造があります。

製造装置では東京エレクトロン(8035)が核心に位置します。同社の2026年3月期は売上高2兆4,435億円と過去最高を達成し、2027年3月期上期は売上高33.1%増の1兆5,700億円を見込んでいます(global-net.co.jp 2026年4月30日)。ラピダスの量産ラインには塗布・現像装置をはじめ複数の前工程装置が必要で、国内ファブへの納入という地理的優位も加わります。

東京エレクトロン・TOWAへの受注影響と株価の見方

後工程装置に目を向けると、モールド成型装置で高いニッチシェアを持つTOWA(6315)が浮上します。同社の2026年3月期は売上高543.6億円と過去最高を記録し、受注高は前年比25.6%増の595.6億円に達しました(TOWA IR 決算説明資料 2026年5月11日)。AI・データセンター向けの先端パッケージ投資が受注を牽引しており、2ナノ品の量産に伴うパッケージ工程の装置需要はTOWAの主戦場に直結します。2027年3月期は売上高640億円・営業利益102億円(前年比48%増)を計画しており、ラピダス案件が加われば上振れ余地が生じます(global-net.co.jp 2026年5月11日)。

一方、ラピダスの台頭がリスク要因となる企業も存在します。ソニーグループ(6758)はラピダスの設立8社の一員でありながら、イメージセンサー製造では依然としてTSMCとの協業関係を持ちます。ラピダスとTSMCが価格競争を本格化させれば、調達先の選定を迫られる場面が生じます。村田製作所(6981)はスマートフォン向けMLCC需要がコア事業であり、半導体ファブとは直接競合しませんが、国内製造コスト全体が上昇局面に入ると部品価格の転嫁交渉に圧力がかかります。また、Broadcom(AVGO)やLAM RESEARCH(LRCX)のような米系半導体・装置大手は、ラピダスが国内装置メーカーとの協業を深めるほど、日本市場でのシェアが相対的に圧縮されます。

マネックス証券

見落とされやすい建設・電力セクターへの影響

半導体投資家が意識しにくいのが建設と電力の領域です。千歳のラピダスファブは大規模な土木・電気工事を伴い、大林組(1802)はすでに国内大型半導体工場の施工実績を持つゼネコンとして、追加の設備投資フェーズでの受注機会が生じます。また、最先端ファブの稼働には年間数十MWに及ぶ安定電力が不可欠で、北海道・東北エリアの電力インフラ整備に絡む形で中部電力(9502)のような電力会社にも間接的な需要が波及します。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や日本航空(9201)については、ラピダス関連の資金調達・人材輸送需要という側面がある一方、国内設備投資の集中が他セクターの資金配分を変える構造的な影響も生じます。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

信越化学工業4063

根拠信越化学工業は半導体向けシリコンウエハーで国内首位のシェアを持ちます。2026年3月期の売上高は2兆5,739億円と増収を確保し、電子材料事業は好調を維持しています。ラピダスが2027年度後半に2ナノ量産へ移行すれば、高純度ウエハーの大口・長期調達需要が北海道千歳ファブに集中し、国内首位サプライヤーとして同社への発注量が急増します。国内ファブへの地理的近接性が調達コスト面でも優位に働きます。
経路ラピダス2ナノ量産開始(60社超との交渉が受注へ転換)千歳ファブでの高純度ウエハー大口調達需要が急増(国内首位サプライヤーへ発注集中)信越化学の電子材料事業売上・稼働率が拡大

東京エレクトロン8035

根拠東京エレクトロンは2026年3月期に売上高2兆4,435億円と過去最高を達成し、2027年3月期上期は前年同期比33.1%増の1兆5,700億円を見込む成長局面にあります。ラピダスの量産ラインは塗布・現像装置をはじめ複数の前工程装置を必要とし、同社は当該装置カテゴリで高い国内シェアを有します。国内ファブへの地理的優位が納入リードタイムとサービス対応力を高め、受注獲得確度を引き上げます。
経路ラピダス千歳ファブへの量産設備投資加速(前工程装置の大量発注)塗布・現像装置等の国内首位メーカーとして優先採用(地理的優位と既存実績が寄与)東京エレクトロンの売上高・受注残がさらに上振れ

大林組1802

根拠大林組は国内大型半導体工場の施工実績を持つゼネコンであり、ラピダスが千歳ファブの量産フェーズへ移行する追加設備投資局面で建設・土木・電気工事の受注機会が生じます。先端ファブはクリーンルーム建設・超純水設備・大規模電気工事など高度な施工技術を要求し、実績を持つ大手ゼネコンへの発注が集中する構造があります。ラピダスが60社以上との交渉を受注に転換するほど設備投資規模が拡大し、施工需要が増加します。
経路ラピダス千歳ファブの量産移行に伴う追加設備投資(クリーンルーム・インフラ工事の大型発注)半導体工場施工実績を持つ大林組が受注獲得(高度技術要件で大手ゼネコンに発注集中)建設事業の売上高・受注残が拡大

中部電力9502

根拠最先端半導体ファブの稼働には年間数十MWに及ぶ安定電力が不可欠であり、ラピダスの千歳ファブが量産フェーズに入ることで北海道・東北エリアの電力インフラ整備需要が増加します。中部電力は広域送電ネットワークと電力卸市場への関与を通じて、北海道エリアの需給逼迫が生む電力価格上昇と供給契約拡大の機会を享受します。国内製造業の電力需要増加は電力各社の販売量と収益を押し上げる構造があります。
経路ラピダス千歳ファブ量産稼働(年間数十MW規模の電力需要が恒常的に発生)北海道エリアの電力需給が逼迫し電力卸価格が上昇・供給契約が拡大中部電力の電力販売収益・広域電力事業に需要増が波及

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

TOWA6315

根拠TOWAはモールド成型装置でグローバルにニッチ高シェアを持つ後工程装置メーカーです。2026年3月期の受注高は前年比25.6%増の595.6億円と過去2番目の水準を記録し、AI・データセンター向け先端パッケージ投資が牽引しています。ラピダスの2ナノ品量産ではチップレット等の先端パッケージ工程が不可欠であり、モールド成型装置の需要がTOWAの主戦場に直結します。2027年3月期の営業利益計画(前年比48%増の102億円)にラピダス案件が加わることで上振れ余地が生じます。
経路ラピダス2ナノ量産(先端パッケージ工程の装置需要が拡大)モールド成型装置でニッチ高シェアを持つTOWAへ発注が集中(後工程装置の主戦場に直結)受注高・売上高が計画上振れ・営業利益率が回復

打撃を受ける可能性がある企業

ソニーグループ6758

根拠ソニーグループはラピダスの設立8社の一員でありながら、イメージセンサー製造においてTSMCとの協業関係を継続しています。ラピダスとTSMCが2ナノ以降の先端プロセスで価格競争を本格化させれば、ソニーはファウンドリ調達先の選定を迫られ、意思決定コストと切り替えリスクが上昇します。また、TSMCが対抗値下げに動くことで先端ウエハー調達コストの見通しが不透明になり、センサー事業の原価計画が複雑化します。
経路ラピダス・TSMC間の価格競争激化(ウエハー単価の変動リスクが上昇)ソニーのイメージセンサー向けファウンドリ調達先選定の意思決定コストが増大(既存TSMCとの協業見直し圧力)先端センサー事業の原価計画・設備投資判断が複雑化

村田製作所6981

根拠村田製作所はスマートフォン向けMLCCを中心とする電子部品メーカーであり、半導体ファブとは直接競合しませんが、国内製造業全体の設備投資集中がエンジニア人材・建設コスト・電力コストの上昇を引き起こします。この国内製造コスト全体の上昇局面は、村田製作所が取引先への部品価格転嫁交渉を行う際に下方圧力となり、採算性の改善を困難にします。また、半導体関連の投資に国内製造資源が集中することで、電子部品セクターの優先度が相対的に低下します。
経路ラピダス設備投資集中による国内製造コスト全体の上昇(人材・電力・建設費が高騰)村田製作所の国内製造拠点で間接コストが上昇(部品価格転嫁交渉に下方圧力)MLCC等主力製品の採算改善が困難化

Broadcom Inc.AVGO

根拠BroadcomはカスタムAIチップ(XPU)等の先端半導体をTSMCで製造しており、日本市場ではファウンドリ・装置・素材の調達において米系プレーヤーが強い影響力を持ちます。ラピダスが国内装置メーカー・素材メーカーとの協業を深めるほど、日本の半導体エコシステムが国産志向にシフトし、Broadcomが日本顧客向けに提供するカスタムシリコン・ネットワーキングチップの採用優先度が相対的に低下します。さらに、ラピダスが60社以上の顧客候補を取り込むことで、Broadcomの潜在顧客が分散します。
経路ラピダスが国内エコシステムを形成(日本顧客の調達先が国産ファウンドリへシフト)Broadcomのカスタムシリコン・ネットワーキング製品の日本市場シェアが相対的に圧縮日本向け受注機会の減少がグローバル売上成長の下押し要因に

三菱UFJフィナンシャル・グループ8306

根拠三菱UFJフィナンシャル・グループはラピダス関連の資金調達やプロジェクトファイナンスに関与する機会を持つ一方、国内設備投資がラピダス・半導体関連に集中することで、他セクター(自動車・不動産・消費財等)への融資・投資銀行業務の相対的な優先度が低下します。また、政府補助金が半導体分野に傾斜配分されることで、金融機関が他のインフラ・製造業プロジェクトから資金を振り向けるよう圧力がかかり、ポートフォリオの分散効率が低下します。
経路国内設備投資のラピダス・半導体分野への集中(政府補助金・民間資金が傾斜配分)他セクターへの融資・投資銀行業務の相対的機会が縮小(資金配分の歪みが発生)三菱UFJの非半導体セクター向け収益パイプラインが細化

日本航空9201

根拠日本航空はラピダス関連の技術者・経営者の国際輸送需要という恩恵の側面がある一方、国内設備投資の半導体分野への集中が企業の出張・人材移動の優先順位を変えます。国内製造コストの上昇と予算の半導体集中は、一般製造業や消費財セクターの国内外出張需要を抑制し、航空旅客需要全体のミックスを変化させます。また、半導体エンジニアの北海道集中は特定路線の需要を高める一方、他の幹線ビジネス路線の法人需要が相対的に伸び悩む構造になります。
経路半導体投資集中による企業の予算配分変化(出張・人材交流費が半導体関連以外で抑制)幹線ビジネス路線の法人旅客需要が相対的に伸び悩み(千歳集中で他路線との需要格差が拡大)日本航空の路線別収益ミックスが悪化

LAM RESEARCH CORPLRCX

根拠LAM RESEARCHはエッチング装置・成膜装置で世界トップシェアを持ち、日本市場でも主要ファウンドリ・メモリメーカー向けに装置を供給しています。ラピダスが東京エレクトロンをはじめとする国内装置メーカーとの協業を深め、国産装置の優先採用を進めるほど、LAM RESEARCHが日本の先端ロジックファウンドリ市場で獲得できる装置シェアが相対的に圧縮されます。さらに、米国の対中輸出規制強化に伴う地政学リスクが国産優先の調達方針を後押しし、外資系装置メーカーの日本市場参入障壁が高まります。
経路ラピダスの国内装置メーカー優先協業方針(国産装置の採用を前提とした量産ライン構築)LAM RESEARCHのエッチング・成膜装置の日本先端ロジック市場シェアが相対的に低下(地政学リスクが国産優先を加速)日本市場での受注機会減少がアジア事業の成長率を下押し
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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