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著者: かぶてぃー|公開: 2026年7月15日|更新: 2026年7月15日

ASML好決算・上方修正で半導体製造装置の関連銘柄はどう動くか

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ASMLホールディングは2026年7月15日、2026年12月期の売上高見通しの上限を400億ユーロから450億ユーロへ引き上げると発表しました(日本経済新聞 2026年7月15日)。同社の2026年4〜6月期(Q2)決算は売上高93億ユーロ(前年同期比21%増)、純利益29億ユーロ(同27%増)で、いずれも自社ガイダンスを上回って着地しました(Investing.com 2026年7月15日)。通期ガイダンスは売上高430億〜450億ユーロ、粗利益率54〜56%へ引き上げられ、第3四半期単独のガイダンスも売上高110億〜120億ユーロと積み上がっています。AI関連投資の継続が好業績の主因とされており、インストールベース事業が予想を3億ユーロ上回る28億ユーロを計上したことも業績を支えました。

ASMLの2026年通期売上高ガイダンス引き上げでAI向け半導体製造装置サイクルの長期化が確認され、装置需要に直結する東京エレクトロン(8035)への恩恵が見込まれる一方、独自の露光技術を持たずコスト競争に直面するニコン(7731)は構造的な収益圧迫リスクを抱えます。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

ASML、通期売上高見通しを上方修正 4〜6月期純利益は27%増

直接影響を受けるセクター

半導体・電子部品

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    AI投資加速

    ASMLの好調がAI向け半導体製造需要の増加を反映

  2. 2
    半導体製造装置増産

    ASMLが生産能力を増強しサプライチェーン全体が活性化

  3. 3
    電力消費急増

    データセンター建設と製造装置稼働率上昇で電力需要が大幅増加

  4. 4
    冷却・排熱処理需要

    高電力消費環境で冷却システムと放熱部品の需要が急増

  5. 5
    産業用空調・冷却関連企業

    データセンター冷却用システムの受注が加速

  6. 6
    電力インフラ投資

    送電・受電網の拡強工事と電力供給力確保が急務化

  7. 7
    電力・エネルギー関連企業

    電力需給ひっ迫で供給側の設備投資が加速

ASML上方修正が示す半導体製造装置の需要サイクルと株価への影響

Investing.com 2026年7月15日が報じた通り、ASMLの2026年Q2決算は売上高・純利益・粗利益率のすべてが自社ガイダンスを超過しました。通期売上高ガイダンスの上限は450億ユーロに引き上げられ、Q3単独でも110億〜120億ユーロが見込まれます。注目すべきは、この数字がAI向けデータセンター投資の勢いを装置受注として可視化した点です。AI半導体の製造には最先端のEUV露光装置が不可欠であり、ASMLはその装置を世界で唯一供給しています。ファブの設備投資が上向くと、洗浄・成膜・エッチングなど前後工程の装置需要も同時に引き上げられる構造があります。

国内では東京エレクトロン(8035)がこの流れの主要な受益者として位置します。2026年3月期通期決算では売上高2兆4,435億円・純利益5,744億円でいずれも過去最高を更新しており、2027年3月期上期は売上高1兆5,700億円(前年同期比33%増)という強気計画を掲げています。Q4単独でも営業利益が前四半期比77%増と急回復し(BigGo Finance 2026年4月30日)、ASMLの好調と軌跡が重なります。マスクブランクス検査装置に強みを持つレーザーテック(6920)も、EUVフォトマスク検査という工程でASMLの稼働増と直結する需要を受けます。

一方でリスクを抱える構造にあるのが、露光装置市場でASMLと競合してきたニコン(7731)です。2026年3月期決算では売上収益6,771億円(前期比5.3%減)、営業損失1,124億円と大幅な赤字転落となりました。2026年2月の第3四半期決算ではSLM社関連の減損損失906億円を計上しており、EUV対応で先行するASMLとの技術格差が収益に直接表れています。キオクシアホールディングス(285A)はNAND型フラッシュメモリの価格環境とファブ稼働率の調整局面が続くため、製造装置の発注余力に制約が生じます。ラム・リサーチ(LRCX)やアプライド・マテリアルズ(AMAT)はASMLとファブ投資を取り合う競合関係にあるため、予算配分がEUV装置側に傾くほど他工程への支出余力が圧縮されるリスクを持ちます。荏原製作所(6361)や三菱電機(6503)はファブ向け冷却・電力インフラ設備を供給しますが、ファブの新規建設が先行して遅れる地域では設備投資決定が後ろ倒しになる局面が生じます。

見落とされやすいCKD・ダイフクへの影響と関連銘柄の広がり

ファブ全体の稼働率が上がると、装置本体より先に消耗品・制御部品の需要が増える構造があります。CKD(6407)は半導体用薬液制御機器を手がける部品メーカーで、株探 2026年6月15日によると2027年3月期の営業利益予想は前期比24.7%増の245億円で4期ぶりの最高益更新が見込まれています。2026年3月期は下方修正局面を経ながらも下期の半導体関連需要拡大で上振れ着地しており、ASMLが示す装置需要の長期化は薬液制御という川下工程への安定した需要をもたらします。

ダイフク(6383)は半導体ファブ内の搬送システム(AMHS)を供給しており、ファブの稼働増やクリーンルームの新設局面で受注が積み上がる実績を持ちます。さらに視点を広げると、データセンターと半導体ファブの両方で電力需要が急増する構造があり、非常用発電機を手がけるGENERAC HOLDINGS(GNRC)のような企業にも電力インフラ投資の引き力が届きます。ASMLの一枚の決算書が、露光装置から薬液バルブ、搬送ロボット、非常用電源へと需要の連鎖を引き起こすのは、AI投資がファブというひとつの生態系全体を同時に立ち上げるからです。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

東京エレクトロン8035

根拠東京エレクトロンはASMLのEUV露光装置と同一ファブ投資サイクルに連動する成膜・エッチング・洗浄装置を供給します。2026年3月期売上高2兆4,435億円・純利益5,744億円はいずれも過去最高を更新し、Q4単独で営業利益が前四半期比77%増・営業利益率28.9%を記録しました。2027年3月期上期の売上高計画は1兆5,700億円(前年同期比33%増)で、ASMLが示すファブ投資の長期化が同社の装置需要を直接押し上げます。
経路ASMLの通期ガイダンス上方修正(EUV装置受注増)ファブ設備投資の前後工程装置需要が同時拡大(成膜・エッチング・洗浄)東京エレクトロンの受注残・売上高が追加拡大(上期売上高+33%計画をさらに上振れる余地)

レーザーテック6920

根拠レーザーテックはEUVフォトマスクの欠陥検査装置において世界トップシェアを持ち、EUV露光プロセスが拡大するほど同装置の需要が直接増加します。ASMLのEUV装置稼働台数が増えるとフォトマスクの検査頻度・枚数が増え、レーザーテックのSEMA・ACTIS等の検査装置出荷が積み上がる構造です。High-NA EUVへの世代移行が進むと検査装置の単価も上昇するため、台数増と単価上昇の双方が売上を押し上げます。
経路ASMLのEUV装置出荷増(High-NA移行を含む)EUVフォトマスク使用枚数・検査頻度が増加(1枚のマスクに複数回の検査が必要)レーザーテックの検査装置出荷台数・単価が上昇し受注残が拡大

GENERAC HOLDINGS INC.GNRC

根拠GENERAC HOLDINGSは産業用・商業用の非常用発電機および電力インフラ機器を供給しており、データセンターと半導体ファブの双方で急増する電力需要の受け皿となります。ASMLが示すAI向けファブ投資の長期化は、クリーンルームの24時間稼働を支える安定電源インフラへの投資を同時に引き上げます。ファブ一棟あたりの電力消費は数十MWに達するため、バックアップ電源の容量確保が不可欠であり、同社の大型発電機・電力管理システムの受注が拡大します。
経路AI向けデータセンター・ファブ投資の同時拡大(ASMLガイダンス上方修正が確認)クリーンルーム・データセンターの電力需要が急増し安定電源インフラへの投資が拡大GENERACの産業用非常用発電機・電力管理システムの受注が積み上がり売上が増加

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

CKD6407

根拠CKDは半導体製造ラインで使用する薬液制御バルブ・流体制御機器において国内高シェアを持つニッチサプライヤーで、ファブ稼働率が上昇すると消耗品・制御部品の補充需要が装置本体より先に増加します。2027年3月期営業利益予想は前期比24.7%増の245億円で4期ぶりの最高益更新が見込まれており、2026年3月期も下期に半導体関連需要が拡大して上振れ着地しました。ASMLの好調が示すファブ稼働の長期化は、薬液制御という川下工程への持続的な需要をもたらします。
経路ASMLのガイダンス上方修正(ファブ稼働率の長期上昇が確認される)薬液制御バルブ等の消耗品・制御部品の補充需要がファブ全体で増加(装置発注より先行)CKDの半導体向け売上が拡大し営業利益245億円計画を達成・超過
意外な波及

ダイフク6383

根拠ダイフクは半導体ファブ内の自動搬送システム(AMHS)で世界トップクラスの納入実績を持ち、ファブの新設・稼働増局面でクリーンルーム搬送ラインの受注が積み上がります。ファブ稼働率が高まるとウェーハ搬送の処理量が増え、既設システムの増設・更新需要も同時に発生します。ASMLが示すEUV装置出荷の継続的拡大は、そのEUV装置を収容するファブのレイアウト拡張を促し、AMHSの新規受注を直接牽引します。
経路ASMLのEUV装置出荷増(ファブ新設・拡張が各地で進行)クリーンルーム内の自動搬送システム(AMHS)の新設・増設受注が発生(ファブ1棟あたり数百億円規模の搬送設備)ダイフクの半導体向け受注残が拡大し売上・利益が押し上げられる

打撃を受ける可能性がある企業

ニコン7731

根拠ニコンは露光装置市場でASMLと競合しますが、EUV技術でのシェア獲得に至らず、2026年3月期の売上収益は6,771億円(前期比5.3%減)、営業損失1,124億円と大幅な赤字転落となりました。Q3にはデジタルマニュファクチャリング事業(SLM社)ののれん等で906億円の減損損失を計上しており、ASMLがEUV装置出荷を拡大するほどニコンの露光装置の市場シェアが構造的に圧縮されます。ファブ各社の投資予算がEUV対応に集中するため、ニコンのArF液浸装置への配分余地が縮小します。
経路ASMLのEUV装置受注増(ファブ各社の投資予算がEUVに集中)ニコンのArF液浸・その他露光装置への予算配分が縮小(技術格差が拡大)ニコンの精機事業売上が減少し営業赤字が継続・拡大するリスクが高まる

キオクシアホールディングス285A

根拠キオクシアホールディングスはNAND型フラッシュメモリの大手ファブを運営しますが、NAND価格の下落サイクルとファブ稼働率の調整局面が続いており、製造装置の新規発注余力が制約されています。ASMLの好調が示すファブ投資の波はロジック・先端DRAMに集中しており、NAND向けのEUV適用はまだ限定的です。設備投資の先送りが続くと装置メーカーへの発注が遅れ、キオクシア自身の競争力強化にも影響が及びます。
経路NAND価格下落・稼働率調整(収益圧迫が継続)キオクシアの設備投資予算が圧縮され装置発注が後ろ倒しに(EUV対応投資も遅延)技術世代の更新が競合より遅れ市場シェアと収益性の回復が長期化

LAM RESEARCH CORPLRCX

根拠ラム・リサーチはエッチング・成膜装置でファブ向け設備投資を獲得しますが、ファブ各社の設備投資予算がASMLのEUV装置購入に多く配分されるほど、同じ予算内での他工程装置への支出余力が圧縮されます。ASML一社のEUV装置は1台あたり数百億円規模であり、ファブの年間capexに占める割合が大きいため、エッチング等の装置購入タイミングが後ろ倒しになるリスクがあります。輸出規制による中国向け売上の制約も同社の収益を抑制します。
経路ASMLのEUV装置単価・台数増(ファブcapexに占める露光装置比率が上昇)同一予算内でエッチング・成膜装置への配分余地が圧縮(発注タイミングの後ろ倒し)ラム・リサーチの受注成長ペースが鈍化し売上計画の達成に下方圧力

荏原製作所6361

根拠荏原製作所はファブ向け冷却システム・真空ポンプ・スクラバー等のインフラ設備を供給しますが、ファブの新規建設計画が地域によって遅延する局面では、設備投資決定が後ろ倒しになります。半導体関連の受注は建設フェーズの進捗に連動するため、着工・竣工スケジュールが延期されると同社の売上計上時期もずれ込みます。ASMLの好調はファブ投資の継続を示す一方、建設コスト上昇や補助金審査の遅れで実際の建設着工が滞る地域では荏原の受注貢献が限定されます。
経路ファブ新規建設計画の地域別遅延(建設コスト上昇・補助金審査遅れが発生)荏原製作所の冷却・真空ポンプ等インフラ設備の受注決定・売上計上が後ろ倒しに半導体向けセグメントの売上成長ペースが計画を下回るリスクが高まる

三菱電機6503

根拠三菱電機はファブ向け電力インフラ・空調・制御システムを供給しますが、ファブの建設フェーズが進まなければ大型設備の受注が積み上がりません。ファブ建設の遅延や投資計画の見直しが生じる地域では、三菱電機の受注タイミングが後ろ倒しになります。また半導体製造装置向けのパワー半導体・サーボ部品はASML側の装置内製化や調達先多様化の動きにより、単価圧力を受ける局面があります。
経路ファブ建設フェーズの遅延・地域ばらつき(補助金・立地調整の長期化)三菱電機の電力インフラ・空調システム受注の確定が後ろ倒しに(売上計上が翌期以降にずれ込む)半導体インフラ向けセグメントの増収幅が計画対比で圧縮されるリスク

APPLIED MATERIALS INC /DEAMAT

根拠アプライド・マテリアルズはCVD・PVD・CMP等の幅広い工程装置でファブ設備投資を獲得しますが、ファブ各社のcapexのうちEUV装置購入に充当される割合が増加するほど、他工程装置への予算が相対的に圧縮されます。ASMLのガイダンス上方修正はEUV需要の長期継続を示しており、ファブのcapex配分においてアプライド・マテリアルズが競合するバジェットの取り合いが激しくなります。加えて対中輸出規制の強化により中国向け売上が制約を受けるリスクも継続します。
経路ASMLのEUV装置出荷拡大(ファブcapexに占める露光装置コストが増大)CVD・PVD・CMP等の工程装置への予算配分が圧縮(同一capex内での競合激化)アプライド・マテリアルズの受注成長率が鈍化し、対中規制と合わせて売上上振れ余地が限定される
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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