ChainvestChainvest
著者: かぶてぃー|公開: 2026年7月27日|更新: 2026年7月27日

キオクシア株価下落の原因とNAND型フラッシュ市況悪化が半導体関連銘柄に与える影響

XLINEFacebook

キオクシアホールディングス(285A)は2026年7月27日、前週末比10.01%安の5万400円まで売られ、5月20日以来約2カ月ぶりの安値を記録しました(日本経済新聞 2026年7月27日)。同社は2026年3月期に売上収益2兆3,376億円(前期比37.0%増)、営業利益8,704億円(同92.7%増)と過去最高水準の業績を上げていましたが、前週末24日の米株式市場における半導体メモリー株安を受けて売りが波及しました。キオクシアはNAND型フラッシュメモリーで世界シェア3位に位置する半導体メモリー大手であり、今回の下落は6月22日に記録した上場来高値11万2,700円から大幅な調整局面を形成しています(日本経済新聞 2026年7月17日)。

米半導体メモリー株安でキオクシアホールディングス(285A)が一時10%安と急落する一方、メモリー向け需要から相対的に距離を置くTDK(6762)はAI向け電子部品事業を軸に影響を受けにくい構造にあります。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし米国の半導体メモリー需要が想定以上に減速した場合、キオクシアの生産調整が深刻化し業績悪化が加速する。

直接影響を受けるセクター

半導体・電子部品

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    メモリー需要減速

    DRAM・NAND需要が想定以下に落ち込む

  2. 2
    メモリー製造装置発注減

    キオクシア等の生産調整で装置メーカー売上が縮減

  3. 3
    製造装置部品・素材減産

    フォトレジスト・特殊ガス・シール材等の供給需要が低下

  4. 4
    半導体工場建設投資鈍化

    チップメーカーのCapEx削減で新規ファブ建設が延期

  5. 5
    建設・設備工事受注減少

    ファブ建設減でプラント工事企業の受注が急速に落ち込む

  6. 6
    建機・重機需要低迷

    工事減少に伴い建設機械の稼働率・新機種需要が減速

  7. 7
    鉄鋼・建材・エネルギー需要縮小

    工事減少に伴う素材・電力需要の連鎖的低下

キオクシア株価急落の原因とNAND型フラッシュ市況悪化の構造

楽天証券トウシル 2026年7月が指摘するように、キオクシアの下落は単発的な売りではなく、米半導体メモリー市況への不安心理が引き金となっています。同社は積層NAND技術を主力とし、積層数が増えるほど製造コストが上昇するという構造的課題を抱えており(松井証券マネーサテライト 2026年)、需要が想定を下回る局面ではコスト負担が業績に直撃します。WSTSは世界半導体市場の2026年成長率を26.3%と予測していましたが(SBbit 2026年2月)、NAND型フラッシュの市況が先行して軟化するケースでは、その恩恵が均等に分配されない構造があります。AIブームに乗って2026年3月期に営業利益が前期比92.7%増と急拡大したキオクシアだけに、成長期待の剥落が株価に大きく跳ね返っています。

東京エレクトロン・半導体製造装置関連銘柄への下落影響と素材メーカーの動き

キオクシアをはじめとするメモリーチップメーカーが生産調整に踏み切ると、設備投資(CapEx)の削減が装置発注の減少に直結します。東京エレクトロン(8035)やAPPLIED MATERIALS(AMAT)は既に連れ安の動きを見せており(楽天証券トウシル 2026年7月)、新規ファブ建設の延期が現実味を帯びると受注残に影響が及びます。素材サイドでは信越化学工業(4063)が供給するシリコンウェーハや特殊化学品、LINDE PLC(LIN)が供給する半導体製造用特殊ガスの需要が縮小する構造があります。住友化学(4005)が手がけるフォトレジストも同様で、NAND向けの製造ボリュームが落ちれば消耗材としての需要量が直接減少します。ファブ建設の停滞は大成建設(1801)のような半導体工場建設を受注してきたゼネコンの工事受注環境にも影響を与えます。

株・投資信託ならネット証券のマネックス

見落とされやすい恩恵側の銘柄――TDK・Broadcom・三菱マテリアルの動き

NAND市況の悪化が全ての半導体関連銘柄に等しく打撃を与えるわけではありません。TDK(6762)はスマートフォン向け小型電池とAI市場向け電子部品を主軸とし、2026年3月期連結で売上高2兆5,048億円・営業利益2,724億円と過去最高を更新しています(みんかぶ TDK決算情報)。メモリー製造依存度が低いため、NAND市況下落の直接的な影響を受けにくい事業ポートフォリオを持っています。Broadcom(AVGO)はAIアクセラレーターやネットワーキングチップに強みを持ち、メモリー市況よりもデータセンター向けカスタムシリコン需要に連動する構造があります。三菱マテリアル(5711)は銅・パラジウムなどの非鉄金属・電子材料を幅広く展開しており(IRBank 三菱マテリアル)、半導体製造ラインの稼働減とは別のサイクルで動く資源・貴金属部門が収益を支えます。さらに見過ごされやすいのがCABOT CORP(CBT)で、半導体研磨に不可欠なCMP(化学機械研磨)スラリーのニッチ分野で高いシェアを持ち、特定工程における代替困難な供給ポジションを確保しています。NAND製造ラインの縮小局面でも、精密研磨工程の継続需要が収益を下支えするという構造があります。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

TDK6762

根拠TDKはスマートフォン向け小型電池で世界トップシェアを持ち、AI市場向け電子部品を主軸とする事業ポートフォリオを構築しています。2026年3月期連結では売上高2兆5,048億円(前期比13.6%増)・営業利益2,724億円(同21.5%増)と過去最高を更新しており、NAND型フラッシュ製造への依存度が極めて低い収益構造です。メモリー市況悪化の局面でも、AI向けインダクタ・コンデンサ・電池需要は拡大を続けるため、同社の主要事業への直接的な打撃を回避しながら相対的な評価が高まります。
経路NAND市況悪化(メモリー系半導体銘柄の株価下落・投資マインド冷却)AI・スマートフォン向け電子部品需要の堅調継続(TDKの主力セグメントは影響を受けにくい構造)相対株価の優位性拡大(過去最高益更新企業として資金シフト先に浮上)

Broadcom Inc.AVGO

根拠BroadcomはAIアクセラレーター向けカスタムASICおよびデータセンター向けネットワーキングチップに強みを持ち、収益の連動先はNAND型フラッシュ市況ではなくハイパースケーラーのAIインフラ投資です。メモリーメーカーが設備投資を削減する局面でも、クラウド大手によるカスタムシリコン発注は拡大基調を維持します。NANDサプライヤーへの資本配分が縮小する中で、AIシリコン設計受託という代替不可能なポジションを持つBroadcomへの市場評価が相対的に高まります。
経路NAND市況軟化(汎用メモリー投資の縮小)データセンター向けカスタムASIC・ネットワークチップ需要の継続拡大(ハイパースケーラーのAI投資は影響を受けない)Broadcomの売上・利益成長率の相対的優位性が顕在化

三菱マテリアル5711

根拠三菱マテリアルは銅・金・銀・パラジウム等の非鉄金属製錬と電子材料を幅広く展開しており、2026年度通期で親会社株主帰属純利益が前期比19.09%増の405億8,100万円に拡大しています。半導体製造ラインの稼働率低下がNAND向け電子材料需要を一部押し下げるものの、銅・貴金属部門はエネルギー転換・AIインフラ向け配線材需要に連動しており、別サイクルで収益を支えます。事業分散構造が市況悪化時のクッションとして機能します。
経路NAND製造ライン稼働率低下(一部電子材料需要の減少)銅・パラジウム等の非鉄金属・貴金属部門がAIインフラ・エネルギー転換需要で補完(異なる需要サイクルで動作)純利益成長の継続(19.09%増実績がバッファーとして機能)

住友化学4005

根拠住友化学はNAND型フラッシュ製造工程向けフォトレジストを供給しており、NAND市況の悪化局面では製造ボリューム減少により消耗材としての需要が直接押し下げられます。ただし、同社は農薬・医薬・石油化学・情報電子化学と幅広いポートフォリオを持ち、半導体材料が売上全体に占める比率は限定的です。NAND向け需要減少が意識される局面では株価への下押し圧力が先行しやすく、その後の需要回復局面での再評価余地が生じます。
経路NAND製造量減少(フォトレジスト消耗材需要の縮小)半導体材料セグメント売上の一時的下押し(農薬・医薬等他部門が部分的に補完)株価への割安感醸成(需要回復局面での再評価余地が拡大)

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

CABOT CORPCBT

根拠キャボットはCMP(化学機械研磨)スラリー市場においてニッチ高シェアを確保しており、半導体ウェーハ表面の精密平坦化工程に不可欠な消耗材を供給しています。NAND型フラッシュの積層数増加は研磨工程の回数・精度要件を引き上げるため、製造ラインの縮小局面でも稼働中のファブでは研磨工程の継続需要が発生します。代替困難なサプライポジションにより、NAND製造ボリューム減少の影響が他素材メーカーと比較して緩和される構造を持ちます。
経路NAND積層数増加(研磨工程の回数・精度要件の上昇)CMP スラリーの単位ウェーハあたり消費量が増加(Cabotのニッチ高シェアが代替困難な供給優位を維持)製造ライン縮小局面でも研磨工程需要が収益を下支え

打撃を受ける可能性がある企業

キオクシアホールディングス285A

根拠キオクシアはNAND型フラッシュメモリーで世界シェア3位を持ち、2026年3月期に営業利益8,704億円(前期比92.7%増)と急成長を遂げた分、市況悪化時の期待剥落が株価に直撃します。上場来高値11万2,700円から5万400円まで急落し、単日で10%超の下落を記録しました。積層NAND技術は積層数が増えるほど製造コストが大幅に増大する構造を持つため、需要が想定を下回る局面ではコスト負担が業績に直撃し、営業レバレッジが逆方向に働きます。
経路NAND市況悪化(販売単価の下落)高積層化による製造コスト増が業績を直撃(営業レバレッジが逆方向に作用)成長期待の剥落が株価の大幅下落に直結(高値比55%超の急落)

東京エレクトロン8035

根拠東京エレクトロンはNAND型フラッシュ製造工程向けの成膜・洗浄・コータ/デベロッパ等の装置を主力とし、メモリーメーカーの設備投資(CapEx)動向と売上が強く連動します。キオクシアをはじめとするメモリーチップメーカーが生産調整に踏み切ると、装置発注が減少し受注残の積み上がりが止まります。キオクシアの株価急落に連れ安する動きが既に確認されており、新規ファブ建設の延期が現実味を帯びると中期的な受注環境が悪化します。
経路メモリーメーカーのCapEx削減(設備投資計画の凍結・延期)装置発注量の減少(受注残の伸び悩みと新規ファブ向け商談の停滞)売上・利益の下方修正リスクが高まり株価が下落

APPLIED MATERIALS INC /DEAMAT

根拠アプライドマテリアルズはCVD・PVD・イオン注入等の半導体製造装置でグローバルトップシェアを持ち、NAND型フラッシュ向け装置は主要な売上源のひとつです。メモリーメーカーの設備投資削減が進むと、装置の新規発注が減少するとともに既存装置のアップグレード需要も縮小します。東京エレクトロンと同様にキオクシア株価急落との連れ安が確認されており、NAND市況の長期低迷が続く場合は業績ガイダンスの下方修正圧力が高まります。
経路NAND市況悪化(メモリーメーカーのCapEx削減)製造装置の新規発注減少・アップグレード需要縮小(NAND向け装置売上の直接的な落ち込み)業績ガイダンス下方修正圧力と株価の下落

信越化学工業4063

根拠信越化学工業はシリコンウェーハで世界トップシェアを持ち、半導体製造の最上流素材として主要なNANDメーカーに供給しています。NAND製造ラインの稼働率が低下すると、ウェーハの出荷数量が直接減少し、特殊化学品・フォトレジスト等の関連素材も含めた需要が縮小します。シリコンウェーハ市場は製造ライン稼働率との相関が極めて高く、設備投資の停滞が需給バランスを悪化させてウェーハ価格にも下押し圧力が加わります。
経路NAND製造ライン稼働率低下(ウェーハ投入枚数の減少)シリコンウェーハ出荷数量の直接的な減少(価格下押し圧力も併発)売上・利益の縮小と株価への下落圧力

大成建設1801

根拠大成建設はクリーンルーム建設を含む半導体ファブの建設工事を得意とし、国内外の大型半導体工場建設案件を複数受注してきた実績を持ちます。NAND市況の悪化によりメモリーメーカーが新規ファブ建設計画を延期・凍結すると、大型工事案件の受注機会が減少し売上計上の先送りが発生します。半導体関連の建設工事は単価・工期ともに大型であるため、数件の案件延期が工事受注残に与えるインパクトは相対的に大きくなります。
経路メモリーメーカーの新規ファブ建設計画の延期・凍結(NAND市況悪化による投資抑制)半導体工場建設工事の受注機会の減少(大型案件の商談停滞)受注残の伸び悩みと中期的な売上成長の鈍化

LINDE PLCLIN

根拠リンデは半導体製造に不可欠な超高純度窒素・水素・アルゴン・特殊ガスを主要NANDメーカーに長期契約ベースで供給しています。NAND製造ラインの稼働率が低下すると、これらの工程ガスの消費量が直接減少し、特にスポット価格連動の契約分では売上への影響が先行して顕在化します。ファブ建設の停滞は新規ガス供給設備の建設需要も抑制するため、中長期の受注パイプラインにも影響が及びます。
経路NAND製造ライン稼働率低下(工程ガス消費量の直接的な減少)半導体向け特殊ガス売上の縮小(スポット契約分を中心に先行して影響が顕在化)新規ファブ向けガス設備建設需要の停滞で中長期パイプラインが縮小
XLINEFacebook

Chainvest

気になるニュース、毎回調べるの疲れていませんか?

ニュースを貼るだけで、波及銘柄が3秒で見えます。

Chainvestを試す

参考資料

関連記事

記事制作者

かぶてぃー プロフィール写真

かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

X: @kabuteer →
波及の読み方を学ぶ →「風が吹けば桶屋が儲かる」投資思考