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著者: かぶてぃー|公開: 2026年7月31日|更新: 2026年7月31日

トヨタ世界販売3%減が素材・化学関連銘柄に与える影響【2024年上半期】

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トヨタ自動車が2026年7月30日に発表した2026年1〜6月の世界販売台数(レクサス含む)は前年同期比3%減の500万8898台でした。中国市場でのガソリン価格高騰を主因とした需要低迷が全体を下押しし、2年ぶりの前年割れとなりました。一方、電動車(HV・EV・PHV)の販売は拡大し、世界販売全体に占める電動車比率は同期間として初めて54%を超えました。北米ではカムリやタコマのHVが好調で、EV販売台数は前年同期比2.4倍に増加しました。

トヨタの電動車比率54%達成でSiC基板・高純度化学素材を手がける日本化学工業(4092)への恩恵構造が強まる一方、中国でのガソリン車需要縮小でベース油・石化製品の販売減リスクを抱える出光興産(5019)は逆風にさらされます。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

米欧の保護主義政策が強まる中、トヨタはHV強化で地域別需要に対応しつつ、海外生産削減で現在の地位を維持する。

直接影響を受けるセクター

自動車・輸送機

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    HV販売拡大

    北米でHV販売が好調、電動車比率54%達成

  2. 2
    パワー半導体需要増

    HV用SiC/GaNチップ需要が倍増、故障率低さが重視される

  3. 3
    製造装置・検査需要

    SiC/GaNチップの歩留り向上に検査・製造工程が重要化

  4. 4
    素材・化学波及

    SiC基板・窒化ガリウム膜の高純度素材需要が増加

  5. 5
    電力変換効率化

    HV用パワコンの小型化・高効率化で周辺部品の精密加工需要

  6. 6
    中国市場縮小波及

    ガソリン車依存企業の中国シェア喪失で素材・部品需要減

  7. 7
    保護主義・地域分散

    USMCA見直し・欧州ローカル化で部品サプライ構造変化

トヨタHV拡大が動かす素材・化学需要の構造

トヨタ自動車が2026年7月30日に発表した上半期の電動車販売データは、HV(ハイブリッド車)主導の拡大を鮮明にしています。電動車比率54%という数字が示すのは、1台あたりに搭載されるパワーコントロールユニット(PCU)の複雑化であり、その中核部品であるSiCパワー半導体への需要増を意味します。SiC基板や窒化ガリウム(GaN)膜の製造には高純度のシリコンカーバイド原料と精製化学薬品が不可欠で、ここに日本化学工業(4092)が手がける高純度無機化学品の需要接点が生まれます。

住友化学(4005)はHV用パワー半導体の封止材・絶縁フィルム向けに機能性ポリマーを供給しており、電動車比率の上昇は同社の高機能材料事業に追い風をもたらします。デンソー(6902)はトヨタグループのPCU・インバーターの主要サプライヤーであり、HV販売が増加するほど同社の車載電動部品の出荷量に直結します。北米でのHV好調はUSMCA適合生産ラインを持つデンソーの北米工場にとって稼働率上昇の要因となります。

部品・検査装置の需要増と見落とされやすい化学素材企業

SiCチップの量産では歩留まり管理が製造コストを左右します。ここで注目したいのが半導体パッケージング装置メーカーのTOWA(6315)です。SiC/GaNチップのモールディング工程は高温・高圧プロセスを要求するため、精密成形装置への需要がHV量産台数の拡大とともに積み上がる構造があります。同様に、村田製作所(6981)はHVのインバーター回路に使用される積層セラミックコンデンサ(MLCC)の大口サプライヤーとして、電動車比率の上昇から受注増の恩恵を受けます。

米国の特殊化学メーカーであるCelanese Corp(CE)はHV用コネクター・筐体向けエンジニアリングプラスチックで自動車大手との供給実績を持ち、北米HV生産の増強局面ではニッチな素材シェアが顕在化します。

マネックス証券

中国市場縮小と保護主義が打つ素材・エネルギー企業への打撃

トヨタの中国販売低迷は、ガソリン車向けの潤滑油・基油需要に直撃します。出光興産(5019)は中国向けの石油製品・潤滑油事業を展開しており、ガソリン車の販売縮小が続けば当該製品の出荷減圧力が継続します。三菱瓦斯化学(4182)はエンジン部品向け特殊化学品を供給してきた経緯があり、ガソリン車モデルからの需要シフトが品目別の販売構成に影響を与えます。

Huntsman Corp(HUN)はポリウレタン原料(MDI)を自動車内装部材向けに供給しています。中国での自動車生産全体が低迷すれば、同社の化学品需要は下押しされます。電力変換機器の大手であるEaton Corp plc(ETN)はガソリン車向けのパワー管理部品も手がけており、内燃機関モデルの生産縮小はその需要基盤に構造的な圧力をかけます。USMCA見直しや欧州ローカル化の動きが重なれば、グローバルに部品を供給する企業ほどサプライチェーン再編コストを負担する局面が訪れます。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

日本化学工業4092

根拠日本化学工業はSiCパワー半導体の製造工程に不可欠な高純度無機化学品(炭化ケイ素原料・精製化学薬品)を手がけています。トヨタのHV電動車比率が54%に達した結果、PCU内蔵SiCチップの生産量が増加し、同社の高純度品需要が直接拡大します。SiC基板1枚あたりの化学品投入量は従来Si基板比で約1.5倍とされており、HV台数増加が同社出荷数量の押し上げに機能します。
経路トヨタHV比率54%拡大(PCU搭載台数増加)SiCパワー半導体生産量増加(基板・エピ膜向け高純度化学品需要拡大)日本化学工業の高純度無機化学品出荷数量増加(売上・稼働率向上)

住友化学4005

根拠住友化学はHVパワー半導体モジュール向けの封止材・絶縁フィルム用機能性ポリマーをグローバルに供給しています。電動車比率の上昇に伴いパワーモジュールの搭載点数が1台あたり増加するため、封止材・絶縁フィルムの出荷量が連動して拡大します。高機能材料セグメントの車載向け比率は全体の約2割を占め、HV需要増は同セグメントの増収に直結します。
経路HV販売台数増加(パワーモジュール搭載点数増)封止材・絶縁フィルム向け機能性ポリマー需要拡大(住友化学の高機能材料事業売上増)高機能材料セグメント利益率改善(固定費吸収率向上)

デンソー6902

根拠デンソーはトヨタグループ向けPCU・インバーターの主要サプライヤーとして、HV1台につき複数のパワー制御ユニットを納入しています。トヨタの電動車販売比率54%という実績は、デンソーの車載電動部品出荷量に直接連動します。北米工場はUSMCA適合ラインを持ち、北米HV好調により稼働率が上昇し、固定費吸収による利益率改善が進みます。トヨタ向け売上比率は連結の約45%に達し、HV拡大の影響がダイレクトに業績へ波及します。
経路トヨタHV販売54%比率(電動車台数拡大)PCU・インバーター出荷量増加(デンソー北米工場稼働率上昇)車載電動部品セグメントの売上・利益率拡大(固定費吸収改善)

村田製作所6981

根拠村田製作所はHVインバーター回路に搭載される積層セラミックコンデンサ(MLCC)の大口サプライヤーで、車載グレードMLCCの世界シェアは約40%に達します。HV1台のインバーター回路には民生品比で数倍のMLCCが搭載されるため、電動車比率の上昇は同社の車載MLCC出荷数量を押し上げます。車載MLCC単価は民生品比で2〜3倍の水準にあり、ミックス改善による売上総利益率の向上が見込まれます。
経路電動車比率54%拡大(HVインバーター搭載MLCC点数増)車載グレードMLCC受注増(村田製作所の車載セグメント売上拡大)高単価品ミックス改善(粗利率向上・設備稼働率上昇)

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

Celanese CorpCE

根拠Celanese Corpは北米HV生産ラインのコネクター・筐体向けエンジニアリングプラスチック(POM・LCP・PPS)で自動車大手との供給実績を持ち、このニッチ素材シェアが顕在化します。北米HV生産増強局面ではUSMCA適合サプライチェーン内での代替調達が困難なため、Celaneseの耐熱・高強度エンプラへの依存度が高まります。車載エンプラ市場において同社は北米シェア約15〜20%を持ち、HV台数増加が直接受注増に反映されます。
経路北米HV生産増強(USMCA適合サプライチェーン内調達ニーズ増)コネクター・筐体向けエンプラ需要拡大(Celaneseのニッチシェアが顕在化)車載エンプラ事業の売上・マージン拡大(代替困難な高機能品ゆえ価格転嫁力維持)
意外な波及

TOWA6315

根拠TOWAはSiC/GaNチップのモールディング(樹脂封止)工程向け精密成形装置で国内トップシェアを持ち、このニッチ市場での地位が顕在化します。SiCチップの封止工程は高温・高圧プロセスを要求するため、専用成形装置の代替性が低く、HV量産台数の拡大とともに装置受注が積み上がる構造があります。車載SiCパワーデバイス向けモールディング装置市場においてTOWAのシェアは過半を超えるとされており、トヨタ系サプライヤーへの装置納入増が売上に直結します。
経路HV量産台数拡大(SiCパワー半導体チップ生産増)モールディング装置需要増加(TOWAのニッチシェアが顕在化・受注積み上がり)精密成形装置売上・受注残高拡大(高ASP品中心に利益率向上)

打撃を受ける可能性がある企業

三菱瓦斯化学4182

根拠三菱瓦斯化学はガソリンエンジン部品向けに特殊化学品(過酸化水素・メタノール誘導体など)を供給してきた経緯があり、トヨタの中国販売低迷によるガソリン車モデルの需要シフトが品目別の販売構成に下押し圧力をかけます。中国でのガソリン車生産縮小は同社の当該製品カテゴリーの出荷量減少に直結し、製品ミックスの悪化が利益率を圧迫します。中国向け事業は同社売上の約15%を占めており、需要シフトの影響が業績に表れます。
経路中国でのガソリン車販売縮小(トヨタ含む内燃機関需要低迷)エンジン部品向け特殊化学品出荷量減少(三菱瓦斯化学の中国向け売上下押し)製品ミックス悪化(低稼働による固定費負担増・利益率低下)

Huntsman CORPHUN

根拠Huntsman Corpは自動車内装部材向けにポリウレタン原料(MDI)を供給しており、中国での自動車生産全体の低迷が同社の化学品需要を下押しします。中国は世界最大の自動車生産拠点であり、同国での生産縮小はMDI需要の直接的な減少をもたらします。Huntsmanの中国を含むアジア太平洋向けポリウレタン事業は全社売上の約3割を占めており、需要低迷期には稼働率低下と価格下落が重なり、セグメント利益率が悪化します。
経路中国での自動車生産低迷(ガソリン車含む生産台数減少)内装部材向けMDI需要減少(Huntsmanのアジア太平洋ポリウレタン事業売上下押し)プラント稼働率低下・MDI価格下落(セグメント利益率悪化)

出光興産5019

根拠出光興産は中国向け石油製品・潤滑油事業を展開しており、トヨタの中国ガソリン車販売縮小が続けば当該製品の出荷減圧力が継続します。ガソリン車1台あたりの潤滑油消費量はHV・EVより多く、台数シフトは同社の潤滑油販売量を直接削減します。中国向け潤滑油事業は出光興産の潤滑油セグメント売上の一定割合を構成しており、需要減少が継続的な減収要因として機能します。
経路中国でのガソリン車販売縮小継続(潤滑油需要の構造的減少)出光興産の中国向け潤滑油・石油製品出荷量減少(売上減圧力継続)潤滑油セグメントの収益悪化(固定費回収率低下・利益率圧縮)

Eaton Corp plcETN

根拠Eaton Corp plcはガソリン車向けパワー管理部品(燃料・油圧・電気系部品)をグローバルに供給しており、内燃機関モデルの生産縮小がその需要基盤に構造的な圧力をかけます。USMCA見直しや欧州ローカル化の動きが重なることで、グローバルサプライチェーンを前提とするEatonの部品供給コストが上昇します。車両電動化加速による内燃機関向け事業の縮小は、同社の自動車セグメント売上の減少と製品ミックス悪化を同時にもたらします。
経路内燃機関モデル生産縮小(EV・HVへのシフト加速)ガソリン車向けパワー管理部品需要減少(Eatonの自動車セグメント売上下押し)USMCA・欧州ローカル化によるサプライチェーン再編コスト増加(利益率悪化・構造転換費用負担)
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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