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著者: かぶてぃー|公開: 2026年8月7日|更新: 2026年8月7日

EV価格下落で中国車が新興国に流入、トヨタ・アイシンへの打撃とファナック・住友金属鉱山の恩恵を読む

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世界のEV平均価格が2025年にハイブリッド車(HV)の価格を下回りました。日経ビジネス 2025年9月2日によれば、新興市場では中国製EVがエンジン車と同水準かそれ以下に達しており、普及加速が鮮明になっています。Bloomberg 2025年3月18日は、中国自動車メーカーの世界市場シェアが現在の3%から2030年には13%に拡大する見通しを報じており、南アフリカでは中国製車が販売台数の約1割・2019年比5倍に達したとも伝えています。PwC Japanは、中国国内の過当競争と補助金終了による収益圧迫が、メーカー各社に輸出拡大圧力をかけている構造を指摘しています。

EV平均価格がHVを下回り中国車が新興国に流入する構造変化で、電池製造装置を手がけるファナック(6954)には受注増の恩恵が見込まれる一方、新興国HV販売を主軸とするトヨタ自動車(7203)は市場侵食リスクを抱えています。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし中国製EVの低価格競争が加速した場合、日本勢のHV市場が急速に侵食され新興国での販売基盤が崩壊する

直接影響を受けるセクター

自動車・輸送機

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    EV平均価格がHV下回る

    新興国でEV普及が加速し中国車が流入

  2. 2
    電池需要が急増

    低価格EV大量生産で電池材料需要が増加

  3. 3
    リチウム・銅採掘加速

    電池・配線用途で鉱物資源の供給逼迫懸念

  4. 4
    素材・化学セクター価格上昇

    リチウム・コバルト・ニッケル価格が上昇傾向

  5. 5
    電池製造装置・検査需要増

    急速な電池生産拡大で製造装置メーカー受注増

  6. 6
    高周波・電子部品需要増加

    EV制御回路の高度化で専門部品需要が拡大

  7. 7
    サプライチェーン再構成

    日本勢の部品調達構造が中国シフトに対応

EV価格下落で中国EV新興国シェア拡大が加速する構造

Bloomberg 2025年3月18日が示すように、中国自動車メーカーの世界シェアは2030年に13%へ拡大する見通しです。その背景には、PwC Japanが指摘する「国内補助金終了と過当競争による輸出圧力」があります。中国メーカーは内需だけでは消化できない生産能力を抱えており、新興国への廉価輸出が構造的に続きます。その先に立つのがHVに収益基盤を置くトヨタ自動車(7203)です。みんかぶ 2026年5月8日によれば、トヨタの27年3月期連結最終利益は前期比22.0%減の3兆円見通しとなっており、新興国での価格競争激化が収益圧縮を加速させています。トヨタのパワートレイン部品を主力とするアイシン(7259)や、スパークプラグを製造する日本特殊陶業(5334)はHV・エンジン車の販売減少が直接的なコスト圧力となります。豊田自動織機(6201)もフォークリフト・エンジン部品を含む事業でトヨタ依存度が高く、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード(F)も新興国での競争環境が同様に悪化します。

HV依存から電池製造装置・素材へ—ファナック・住友金属鉱山の恩恵

中国EVメーカーが量産規模を拡大するほど、電池セルの生産ライン投資が積み上がります。ファナック(6954)はCNCロボットと産業用ロボットで電池製造装置向け受注を持ち、ライン増強の局面で恩恵を受ける構造があります。同時に、電池材料であるリチウム・コバルト・ニッケルの調達競争が激化し、住友金属鉱山(5713)はニッケル・コバルトの上流権益を持つことから資源価格の上昇局面で収益押し上げ効果が生じます。東京電力エナジーパートナー 2025年度によれば2025年のグローバルEV販売台数は約1,062万台・普及率30.9%に達しており、電池需要の絶対量が拡大し続けています。BYDが2025年のBEV世界販売台数で約225万台を記録しテスラ(TSLA)を上回って首位に立ったことも(Carconnect 2026年5月15日)、量産投資の継続を裏付けています。

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見落とされやすいEV関連銘柄—日産・エンプラスへの影響

打撃側として語られることが多い日産自動車(7201)ですが、構造改革の進捗は注視に値します。日産自動車IR 2026年8月3日によれば、2026年度第1四半期で600億円のコスト削減を達成し、日本経済新聞 2026年8月4日は自動車事業の営業損益が83億円の赤字まで縮小したと伝えています。EV専業への転換を模索しつつコスト構造を刷新する日産は、中国EV拡大シナリオで一概に悲観できない側面があります。一方、意外な着眼点として浮かぶのがエンプラス(6961)です。EV制御回路の高度化に伴い、ICソケットや精密樹脂部品への需要が拡大する構造があり、電池管理システム(BMS)や電力変換モジュール向けの検査・接続部品需要が積み上がります。HV依存の部品メーカーが減収圧力を受ける局面で、EV固有の電子部品分野に軸足を置く企業の受注動向は、投資家が見落としやすいシグナルになります。

恩恵を受ける可能性がある企業

日産自動車7201

根拠日産自動車は2025年度通期でグローバル販売台数315万台・連結営業利益580億円を達成し、第1四半期だけで600億円のコスト削減を実現しました。自動車事業の営業損益は83億円の赤字まで縮小しており、構造改革が財務数値に表れています。中国EV拡大局面においてEV専業への転換を推進するコスト刷新策が競争力改善に直結し、価格競争下での損益分岐点引き下げが進みます。
経路600億円コスト削減実現(固定費・調達費の構造的圧縮)自動車事業営業赤字が83億円まで縮小(損益分岐点の低下)EV転換加速局面での競争耐性向上(新興国価格競争への対応力強化)

ファナック6954

根拠ファナックはCNCロボット・産業用ロボットで電池製造ライン向け受注基盤を持ち、中国EVメーカーが量産規模を拡大するほど電池セル生産ライン投資が積み上がります。BYDが2025年BEV世界販売で約225万台を記録しテスラを抜いて首位となったことが示すように、量産投資は継続拡大しており、ライン増強フェーズで産業用ロボット需要が増加します。グローバルEV販売が2025年時点で1,062万台・普及率30.9%に達した事実が受注の絶対量を裏付けます。
経路中国EVメーカーの量産規模拡大(BYD年間BEV225万台・業界全体1,062万台)電池セル生産ライン増設投資の積み上がり(設備投資サイクル加速)ファナックCNC・産業用ロボット受注増加(電池製造装置向け売上拡大)

Tesla, Inc.TSLA

根拠テスラはBEV世界販売でBYDに首位を譲ったものの、北米・欧州での高付加価値ポジションと充電インフラ網を維持しており、中国EV拡大が新興国市場に集中するほどテスラのプレミアムセグメントへの影響は限定されます。グローバルEV販売が1,062万台・普及率30.9%に拡大する市場環境はEV全体の認知度を高め、テスラのブランド訴求力と充電インフラのネットワーク効果を強化します。市場拡大に伴うEVエコシステム全体の底上げがテスラの販売ボリュームを下支えします。
経路グローバルEV市場の絶対量拡大(2025年販売1,062万台・普及率30.9%)EV認知度・インフラ整備の加速(充電網ネットワーク効果の強化)テスラのプレミアムセグメント需要維持・北米欧州での価格競争圧力の相対的緩和

住友金属鉱山5713

根拠住友金属鉱山はニッケル・コバルトの上流権益を保有しており、中国EVメーカーの量産拡大に伴う電池材料調達競争の激化が資源価格を押し上げます。BYDが2025年BEV販売で225万台を達成し業界全体で1,062万台に達した規模の電池需要は、ニッケル・コバルト需要を構造的に増加させます。上流権益保有企業として、資源価格上昇局面では採掘・製錬マージンの拡大が収益を押し上げます。
経路中国EV量産拡大(BYD225万台・業界1,062万台)リチウム・コバルト・ニッケル調達競争激化(電池材料需給のひっ迫)住友金属鉱山の上流権益で採掘・製錬マージン拡大(資源価格上昇の直接受益)

エンプラス6961

根拠エンプラスはICソケットや精密樹脂部品を主力とし、EV制御回路の高度化に伴う電池管理システム(BMS)・電力変換モジュール向けの検査・接続部品需要が増加します。中国EVメーカーの量産拡大はBMS搭載数を増やし、ICソケット・精密部品の需要を直接押し上げます。HV依存部品メーカーが減収圧力を受ける局面でもEV固有の電子部品分野に軸足を置くエンプラスは受注増の構造的恩恵を受けます。
経路中国EV量産拡大(BMS・電力変換モジュール搭載数の増加)ICソケット・精密樹脂部品への検査・接続需要増加(EV固有電子部品需要の拡大)エンプラスの受注増加・売上高押し上げ(HV系部品市場縮小を補う成長軌道)

打撃を受ける可能性がある企業

トヨタ自動車7203

根拠トヨタ自動車の26年3月期連結最終利益は前期比19.2%減の3兆8,480億円となり、27年3月期はさらに前期比22.0%減の3兆円見通しまで低下します。中国自動車メーカーの世界シェアが2030年に13%へ拡大する構造の中、新興国でHVと中国製EVの価格が同水準まで接近しており、トヨタのHVを中心とした収益基盤が直接的な価格競争圧力にさらされます。新興国販売のシェア喪失が営業利益の減少を加速させます。
経路中国EVメーカーの新興国進出加速(世界シェア3%2030年13%見通し)新興国でのHV・エンジン車価格優位性消失(中国製EVと価格が同水準化)トヨタの連結最終利益が2年連続大幅減益(27年3月期3兆円・前期比22%減見通し)

アイシン7259

根拠アイシンはトヨタ向けのパワートレイン部品(トランスミッション・ブレーキ系等)を主力とし、売上高の大半をトヨタグループへの供給が占めます。中国EVメーカーの新興国シェア拡大によりトヨタのHV・エンジン車販売が減少すると、アイシン向けのパワートレイン部品発注量が直接減少します。トヨタの27年3月期営業利益が前期比22.0%減見通しとなる局面では、サプライヤーへの発注削減圧力が増大します。
経路トヨタのHV・エンジン車販売減少(新興国シェア喪失)アイシン向けパワートレイン部品発注量の直接減少(トヨタ依存度の高さが業績変動を増幅)アイシンの売上高・営業利益の下押し圧力増大

General Motors CoGM

根拠ゼネラル・モーターズは北米に強固な販売基盤を持つ一方、新興国市場ではピックアップトラック・SUV中心のラインアップで中国メーカーの廉価EVとの価格競争が激化します。中国自動車メーカーの世界シェアが2030年に13%へ拡大する過程で、新興国での中国製EVが従来のエンジン車と同水準の価格帯に達しており、GMの新興国向け販売ボリューム・価格決定力が低下します。新興国収益の縮小がGM全体の利益率を押し下げます。
経路中国製EVの新興国価格競争力向上(エンジン車同水準の価格帯に到達)GMの新興国市場シェア・販売台数の低下(価格決定力の喪失)GM全体の営業利益率の低下(新興国事業の収益貢献が縮小)

豊田自動織機6201

根拠豊田自動織機はフォークリフト事業に加え、トヨタ向けエンジン部品・カーエアコンコンプレッサー等を手掛けており、トヨタグループ向け売上がグループ売上の相当割合を占めます。トヨタのHV・エンジン車販売が中国EVとの価格競争で減少すると、豊田自動織機のエンジン系部品供給量が連動して縮小します。フォークリフト事業でも、自動車産業の生産活動が鈍化すれば物流需要が停滞し、二重のダウンサイドリスクが生じます。
経路トヨタのエンジン・HV車生産台数の減少(中国EV競争による新興国販売減)豊田自動織機のエンジン部品・カーエアコン供給量の縮小(トヨタグループ依存による業績連動)自動車産業全体の生産鈍化がフォークリフト物流需要も下押し(二重の減収圧力)

日本特殊陶業5334

根拠日本特殊陶業はスパークプラグを中核製品とし、エンジン車・HV向けの点火部品需要が売上高の大部分を支えます。中国EVメーカーが新興国でエンジン車と同水準の価格でEVを供給することで、エンジン車の販売台数が構造的に減少し、スパークプラグの交換・新車向け需要が減少します。グローバルEV普及率が2025年時点で30.9%に達した事実は、長期的なエンジン車市場の縮小を定量的に裏付けます。
経路グローバルEV普及加速(2025年普及率30.9%・販売1,062万台)新興国エンジン車・HV販売台数の構造的減少(中国製EVとの価格競争による代替)日本特殊陶業のスパークプラグ需要減少(新車搭載・交換需要の長期逓減)

FORD MOTOR COF

根拠フォードは北米でピックアップトラック(Fシリーズ)が主力であるものの、新興国市場においては中国製廉価EVとの価格競争に直接さらされます。中国自動車メーカーの世界シェアが2030年に13%へ拡大する過程で、南アフリカのような市場では中国製自動車が販売台数の約1割を占め5年で約5倍に拡大するなど、フォードが展開する新興国市場での競争環境が急速に悪化します。新興国での販売減少はフォードの海外事業利益を圧迫します。
経路中国製自動車の新興国シェア急拡大(南アフリカで販売台数5年で約5倍・約1割占有)フォードの新興国向け販売台数・価格決定力の低下(廉価EV競争による代替加速)フォード海外事業の営業利益縮小(新興国収益貢献の低下)
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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