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著者: かぶてぃー|公開: 2026年10月6日|更新: 2026年10月6日

日本化学工業の赤リンがデータセンター基板を支える——関連銘柄への影響

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日本経済新聞は2026年9月、AIデータセンターの光通信を支えるインジウムリン(InP)基板の原料となる超高純度赤リンを製造できる企業が世界で2社に限られると報じました。その一社が日本化学工業(福島県三春町・福島第二工場)です。市場調査会社マーケットリサーチセンターが2026年10月5日に発表したレポートによれば、世界の半導体用電子グレード赤リン市場は2025年の352万米ドルから2032年には441万米ドルへ拡大すると予測されています。もう一方の主要メーカーはラサ工業(4022)で、同社はInP基板向けのインジウム・赤リン・酸化ホウ素を手掛けるとともに、半導体向け高純度リン酸(エッチング液)ではグローバルトップシェアを持ちます。

超高純度赤リンの製造が世界2社に集中する供給構造のもと、InP基板で世界シェア4割を持つ住友電気工業(5802)への恩恵が見込まれる一方、赤リン供給の代替材料開発が進まない局面では、同原料に依存するラサ工業(4022)がコスト・競合両面でリスクを抱える可能性があります。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

赤リン供給が現状維持されたまま、海外メーカーの参入や代替材料開発が限定的に進む状況が続く

直接影響を受けるセクター

半導体・電子部品

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    赤リン供給逼迫

    インジウムリン基板製造の原料不足が顕在化

  2. 2
    データセンター冷却需要増

    AI処理による熱発生増加で冷却液需要が加速

  3. 3
    冷媒・冷却液市場拡大

    高性能冷却液・熱管理材料への需要シフト

  4. 4
    電力消費増加

    大規模データセンター稼働で電力需要が倍増

  5. 5
    電力インフラ投資加速

    変電設備・送電網の強化工事が急増

  6. 6
    建設・電気工事需要拡大

    データセンター施設の拡張工事が全国で展開

  7. 7
    建設資材・特殊部品需要増

    耐熱配管・高性能絶縁材料の調達が増加

赤リン・InP基板の供給構造とデータセンター基板素材への影響

AIデータセンター内の光通信モジュール(光トランシーバー)には、電子移動度が高いInP基板が不可欠です。その原料となる超高純度赤リンを生産できるのは、東洋経済 2026年9月8日が報じたように、世界でもごく限られたプレイヤーのみです。マーケットリサーチセンター 2026年10月5日によれば、この市場は2025年の352万米ドルから2032年には441万米ドルへ拡大する見通しで、需要の伸びに対して供給増加が追いつきにくい構造があります。

ラサ工業(4022)はInP基板向けのインジウム・赤リン・酸化ホウ素を手掛け、加えて半導体向け高純度リン酸(エッチング液)でグローバルトップシェアを持ちます(Twitter/1p_semicon 2026年5月14日)。赤リン供給が現状維持のまま代替材料開発が限定的にとどまる局面では、ラサ工業は既存ポジションを維持しながらも、価格交渉力や調達コスト面での競合圧力を受けます。住友化学(4005)がGaN on GaNウエハでデータセンターサーバー向け用途を狙う動きを見せており(住友化学 2024年11月20日)、InP以外の代替基板材料が普及すればラサ工業の需要基盤に影響が生じます。

住友電気工業・InP基板関連銘柄への恩恵

InP基板の量産を担う企業として、東洋経済 2026年9月8日はJX金属と住友電気工業(5802)が世界シェアのそれぞれ約4割、合計8割を占めると報じています。住友電気工業は2026年6月時点で光通信向け半導体材料の生産を3倍に引き上げる計画を打ち出しており(日本経済新聞 2026年6月)、赤リン供給が安定する限り増産恩恵を直接享受します。TDK(6762)や日本エアーテック(6291)のような電子部品・クリーンルーム設備メーカーは、基板製造ラインの拡張に伴う設備投資増で需要を取り込む一方、サプライチェーン競合が激化すれば調達コスト上昇リスクも抱えます。

データセンター内のAI処理が発する熱量の増大は冷却設備への投資を加速させます。オルガノ(6368)は半導体製造プロセスに必要な超純水の供給で実績を持ち(Note 2026年4月1日)、データセンター向け水処理システムの需要拡大に直結するポジションにあります。日本金属(5491)は耐熱・高性能金属素材の調達先として建設・設備工事フェーズで存在感を持ちます。

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データセンター建設・電力インフラ株への見落とされやすい影響

国内のデータセンター建設は2028年に5兆円超の規模に達した後も2030年代まで需要が続くとされており(Arc-Navi 2026年5月19日)、施設整備や電力インフラへの投資が長期にわたって続く構造があります。こうした建設需要の受け皿として鹿島建設(1812)は大規模データセンター施設の施工実績を積み重ねており、InP基板の量産拡大が設備投資を呼び込むほど、電気工事・空調・耐熱配管の発注も増加します。

電力消費の急増は変電設備・送電網の強化工事を促し、関西電力(9503)のような電力会社は大口電力需要の取り込みという形で収益機会が広がります。ノーリツ(5943)のような熱管理機器メーカーは、データセンター向け業務用冷熱システムの需要シフトが読めるかどうかが鍵になります。世界のデータセンター用PCB市場が2025年の3億4,200万米ドルから2032年に5億5,700万米ドルへ成長するとの予測(マーケットリサーチセンター 2026年9月17日)が示すように、基板需要の拡大は素材・設備・インフラの各層に順に圧力をかけていきます。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

住友電気工業(5802)

根拠JX金属と並びInP基板の世界シェア約40%を占め、両社合計で世界シェア約80%を握ります。2026年6月時点で光通信向け半導体材料の生産を3倍に引き上げる計画を公表しており、AIデータセンター向け光トランシーバー需要の拡大が直接的な増産動機となります。赤リン供給が安定する局面では、量産拡大による固定費吸収効果と販売数量増が同時に利益を押し上げます。
経路AIデータセンター向け光トランシーバー需要拡大(InP基板需要急増)→住友電工の光通信向け半導体材料生産3倍計画が稼働(世界シェア約40%のポジション活用)→販売数量増と固定費吸収による利益拡大

日本金属(5491)

根拠データセンター建設が2028年に国内5兆円超の規模に達し2030年代まで続く構造の中、耐熱・高性能金属素材の調達先として設備工事フェーズで需要を取り込みます。InP基板量産拡大に伴う製造装置・配管・筐体など金属部材の発注が増加し、耐熱ステンレスや特殊鋼の出荷が増加します。半導体製造施設特有の高精度・高耐食要件が参入障壁となり、既存取引先への追加受注が積み上がります。
経路InP基板量産拡大・データセンター建設加速(設備投資増)→耐熱・高耐食特殊金属素材の発注増加(製造装置・配管・筐体向け)→日本金属の高性能金属出荷量増加と売上拡大

オルガノ(6368)

根拠半導体製造プロセスの根幹を支える超純水の供給で豊富な実績を持ち、InP基板の量産ライン増設に伴う超純水システムの新規導入・増設案件を直接取り込みます。データセンター内AI処理による熱量増大が冷却用水処理需要も押し上げ、超純水と冷却水処理の両面で受注が拡大します。国内データセンター建設が5兆円超規模に達する過程で、水処理システムの更新・拡張工事が継続的に発生します。
経路AIデータセンター拡張とInP基板量産増(超純水・冷却水処理需要増)→オルガノの水処理システム新規導入・増設案件受注拡大(半導体プロセス超純水での実績が競争優位)→売上・利益の継続的増加

関西電力(9503)

根拠AIデータセンターの電力消費急増は変電設備・送電網の強化工事を促し、大口電力需要の新規契約獲得という形で収益機会が広がります。国内データセンター建設が2028年に5兆円超規模に達し2030年代まで続く構造のもと、関西電力のサービス圏内に立地するデータセンターからの電力需要が継続的に増加します。大口需要家の契約増は固定費比率の高い電力事業において販売電力量増加がそのまま利益改善に直結します。
経路AIデータセンター建設・稼働拡大(電力消費量の急増)→関西圏のデータセンター向け大口電力契約の新規・増量獲得(変電設備強化も促進)→販売電力量増加による収益拡大

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

鹿島建設(1812)

根拠大規模データセンター施設の施工実績を積み重ねており、InP基板の量産拡大が半導体製造施設への設備投資を呼び込むほど、電気工事・空調・耐熱配管を含む建設受注が増加します。国内データセンター建設市場が2028年に5兆円超に達し2030年代まで需要が続く構造のもと、大手ゼネコンとしての施工キャパシティと実績が継続的な受注獲得に直結します。光通信向け半導体工場の増設工事も同社の受注対象となり、データセンターと製造施設の両輪で工事量が拡大します。
経路InP基板量産拡大・AIデータセンター建設需要急増(施設整備投資の長期継続)→鹿島建設の大規模データセンター・半導体製造施設施工受注増加(施工実績による競争優位)→建設売上高と利益の拡大

打撃を受ける可能性がある企業

ラサ工業(4022)

根拠InP基板向けインジウム・赤リン・酸化ホウ素を手掛け、半導体向け高純度リン酸(エッチング液)ではグローバルトップシェアを持ちます。しかし赤リン供給が現状維持のまま代替材料開発が進む局面では、住友化学のGaN on GaNウエハ普及がInP基板需要を侵食し、ラサ工業の素材販売数量が減少します。供給構造の寡占性が価格支持力を一定程度維持するものの、需要先の代替シフトが加速すれば収益基盤が段階的に縮小します。
経路GaN on GaNウエハ等の代替基板材料の普及加速(InP基板需要の侵食)→ラサ工業のInP基板向け赤リン・酸化ホウ素販売数量の減少(需要先縮小)→素材部門の売上・利益の段階的な縮小

住友化学(4005)

根拠GaN on GaNウエハでデータセンターサーバー向け用途を狙う動きを進めていますが、InP基板が光通信モジュールで確立したシェアを崩すには量産コストと性能の両立が課題となります。既存InP基板サプライヤーが増産投資を加速する中、GaN基板の市場浸透が遅れれば開発投資を回収できない期間が長引きます。さらに住友化学の石油化学部門はエネルギーコスト上昇と需要低迷の影響を受けており、半導体材料事業への経営リソース集中が全体収益改善に結びつくまでの時間軸が長くなります。
経路InP基板の増産投資加速(既存プレイヤーのシェア固定化)→住友化学GaN on GaNウエハの市場浸透遅延(量産コスト・性能課題が残存)→開発投資回収の長期化と収益改善の遅れ

TDK(6762)

根拠電子部品メーカーとして基板製造ラインの拡張に伴う設備投資増の恩恵を受ける側面がある一方、InP基板製造ラインの高度化・内製化が進むとサプライチェーン内での部品調達先の絞り込みが起き、競合との価格競争が激化します。半導体製造装置向け電子部品は主要顧客からの価格低減要求が継続的に強まり、調達コスト上昇分を販売価格に転嫁できない場合、利益率が圧縮されます。希土類・レアメタルを含む部材の調達コスト上昇もマージンを下押しします。
経路InP基板量産ライン拡張加速(半導体製造装置向け電子部品の供給競争激化)→主要顧客からの価格低減要求強化と調達コスト上昇(希土類・レアメタル高騰)→TDKの電子部品事業における利益率の圧縮

日本エアーテック(6291)

根拠クリーンルーム設備メーカーとして半導体製造施設の拡張需要を取り込む構造がありますが、大手ゼネコン・外資系設備メーカーとの競合激化により受注単価の低下圧力が強まります。InP基板製造に必要なクリーンルーム規格の高度化(クラス向上)が進むと、対応できる設備仕様のアップグレード投資が先行コストとなり、受注から利益計上までのリードタイムが長くなります。受注集中による施工リソースの逼迫も工期遅延リスクを高め、採算悪化要因となります。
経路InP基板製造施設のクリーンルーム高規格化要求(設備仕様アップグレード投資先行)→競合激化による受注単価低下と施工リソース逼迫(工期遅延リスク増大)→日本エアーテックの利益率低下と採算悪化

ノーリツ(5943)

根拠住宅向け給湯器を主力とするノーリツは、データセンター向け業務用冷熱システムへの需要シフトが読めるかどうかが収益の鍵となりますが、業務用冷熱分野での製品ラインナップと施工実績は専業メーカーに比べて限定的です。AIデータセンターの冷却設備需要が急拡大する中、大型精密空調・液冷システムに特化した競合他社が大型案件を獲得し、ノーリツは住宅リフォーム需要の低迷と相まって主力市場の縮小圧力に直面します。エネルギー価格上昇も製造コストを押し上げ、価格転嫁が困難な住宅向け製品の利益率を圧縮します。
経路AIデータセンター冷熱需要の急拡大(専業大型冷却システムメーカーへの案件集中)→ノーリツの住宅向け主力市場の縮小と業務用冷熱分野での競争劣位(製品ラインナップ・実績の限界)→売上成長の停滞と利益率の低下
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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