ChainvestChainvest
著者: かぶてぃー|公開: 2026年10月7日|更新: 2026年10月7日

HIS不正アクセスで注目されるサイバーセキュリティ関連銘柄と情報漏洩の株価への影響

XLINEFacebook

旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は2026年10月7日、タイ現地法人のファイルサーバへの不正アクセスにより、最大627人分の顧客パスポート情報が流出した恐れがあると発表しました(共同通信 2026年10月7日)。流出の可能性がある情報はパスポート番号・有効期限・アルファベット氏名・署名欄の名前・性別・生年月日などで、2017年および2019〜2020年、2024〜2025年にタイへ出発した顧客が対象となります(ITmedia NEWS 2026年10月7日)。不正アクセスは2025年12月11日に検知ソフトのアラートで発覚し、2026年2月24日の外部専門家調査によって対象人数が確定しました。公表まで約10か月を要したことは、インシデント対応体制の遅延として市場関係者の注目を集めています。

HISの最大627人分のパスポート情報流出を受け、クラウド型セキュリティ監視を主力とするサイバーセキュリティクラウド(4493)への需要増加が見込まれる一方、信頼毀損リスクを直接抱えるエイチ・アイ・エス(9603)は顧客離れや追加対策コストによる収益圧迫リスクを抱えます。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし流出情報がダークウェブで悪用され、顧客情報を使った詐欺・不正取引が多発した場合、HISへの信頼が喪失し顧客離れが急速に進む

直接影響を受けるセクター

ITサービス・ソフトウェア

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    セキュリティ侵害発生

    顧客情報流出でシステム対策需要が急増

  2. 2
    企業のセキュリティ投資急増

    クラウド型監視・SOC運用・インシデント対応の需要拡大

  3. 3
    クラウド・データセンター基盤拡張

    セキュリティシステムの物理インフラ増強が必要に

  4. 4
    通信・ネットワーク構築工事増加

    セキュア通信網・専用回線の敷設需要が拡大

  5. 5
    電力・冷却インフラへの需要波及

    データセンター・監視施設の稼働に大電力と冷却が必須

  6. 6
    企業の信頼低下と競争激化

    セキュリティ強化企業への投資増・弱体化企業への離脱

  7. 7
    金融機関による決済システム対策強化

    流出情報による不正取引防止の投資が急速拡大

HIS不正アクセスで何が変わるか——セキュリティ対策投資の加速

共同通信 2026年10月7日が報じたように、HISのタイ現地法人ファイルサーバから最大627人分のパスポート番号・生年月日・署名情報が流出した可能性があります。パスポートは偽造・なりすましに直結する高リスク情報であり、ダークウェブでの悪用が現実化した場合、不正取引防止への投資要求は金融機関にも波及します。

HIS(9603)が直面するのは信頼回復コストだけではありません。2026年10月期第3四半期時点で営業利益が前年同期比18.1%減の51億円(Yahoo!ファイナンス 2026年9月11日)と苦戦する中、追加のセキュリティ投資や法的対応費用が上乗せされる構造があります。旅行パッケージを通じて顧客情報を保有する日本航空(9201)やアゴーラ ホスピタリティー グループ(9704)、フィンテック決済基盤を持つメルカリ(4385)やオリックス(8591)にとっても、同種インシデントへの警戒が高まり、自社のシステム監査・セキュリティ診断への支出拡大が生じます。AGS(3648)のような決済システム受託企業も顧客側からの要件強化を受けるリスクを抱えます。

サイバーセキュリティ関連銘柄への影響と情報漏洩対策需要の拡大

こうした情報漏洩インシデントが発生するたびに、クラウド型WAFやSOC(セキュリティオペレーションセンター)運用の引き合いが急増する構造があります。サイバーセキュリティクラウド(4493)は2026年12月期中間期に売上高が前年同期比14.6%増の27億7,100万円、営業利益が30.0%増の6億2,000万円と大幅な増収増益を達成しており(Yahoo!ファイナンス 2026年8月9日)、ARRベースでの成長が継続中です(Logmi 2025年11月1日)。HIS事件のような高インパクトな流出事例は、経営層が稟議を通しやすい追い風として働きます。

インシデント対応・ログ監視・ペネトレーションテストを提供するラックス建設(601A)も、SOC運用需要の拡大局面で案件獲得機会が広がります。セキュリティ強化には物理インフラの増強も不可欠で、監視拠点・データセンターの回線増強工事の需要が生まれるため、KDDI(9433)のような専用セキュア通信網を持つキャリアには回線敷設・マネージドセキュリティサービスの受注機会が生じます。

マネックス証券

見落とされやすい電力・冷却インフラ銘柄への影響

SOC施設やセキュリティ専用クラウドの稼働には大電力と精密冷却が必須です。データセンターの電力消費は24時間365日継続するため、電力会社への安定供給要請は長期契約として積み上がります。中部電力(9502)はデータセンター集積が進む東海・首都圏エリアへの電力供給で恩恵を受ける位置にあります。

冷却設備の観点では、精密空調・チラーユニットを大規模データセンター向けに供給するダイキン工業(6367)の需要が底堅く推移します。セキュリティ投資の議論が「ソフトウェア導入」で完結するように見えても、その基盤を支える電力と冷却の需要は着実に積み上がる構造があります。国内IT投資が2026年に24.1兆円(前年比+8.6%)に拡大すると予測される環境下(CCREB 2026年)で、HIS事件はその投資判断を後押しするトリガーの一つとして機能します。

恩恵を受ける可能性がある企業

サイバーセキュリティクラウド(4493)

根拠HISのパスポート情報漏洩(最大627人分)のような高インパクトなインシデントは、経営層がクラウド型WAF・SOC導入の稟議を通しやすくする追い風として働きます。同社は2026年12月期中間期に売上高前年同期比14.6%増の27億7,100万円、営業利益30.0%増の6億2,000万円と大幅増収増益を達成しており、ARRも49億9,000万円規模で成長が継続します。インシデント発生後の問い合わせ急増がARR積み上げを加速させ、既存顧客のプラン拡張需要も同時に押し上げます。
経路HISインシデント報道(経営層の危機意識醸成)→クラウドWAF・SOC導入稟議の加速(引き合い件数増加)→ARR積み上げ加速・営業利益率改善(中間期比でさらなる拡大)

ラックス建設(601A)

根拠HISの情報漏洩事案を契機にSOC運用・ログ監視・ペネトレーションテスト需要が旅行・金融・EC各業界で急拡大します。インシデント対応を一括受託できる体制を持つ同社には、既存顧客からの契約拡張および新規顧客からの引き合いが増加します。国内IT投資が2026年に前年比8.6%増の24.1兆円規模へ拡大する環境下で、セキュリティ診断・インシデント対応サービスの単価と件数が同時に上昇し、売上高を押し上げます。
経路HISインシデントによるセキュリティ診断需要急増(旅行・金融・EC業界からの引き合い拡大)→SOC運用・ペネトレーションテスト受注増加(単価・件数の同時拡大)→売上高・営業利益の増加

KDDI(9433)

根拠SOC施設・セキュリティ専用クラウドの増設には専用セキュア通信回線の敷設とマネージドセキュリティサービス(MSS)の導入が不可欠です。KDDIは専用セキュア通信網とMSSポートフォリオを国内主要キャリア中で広く整備しており、HIS事件が旅行・金融各業界のシステム監査要件を強化することで、回線敷設・MSS長期契約の新規受注が増加します。国内IT投資拡大(2026年24.1兆円)の恩恵がインフラ層にも波及し、通信セグメントの収益を押し上げます。
経路HISインシデントによるセキュア通信・MSSの要件強化(業界横断での導入義務化議論)→専用回線敷設・MSS新規契約増加(長期安定収益の積み上げ)→法人通信セグメント売上高の拡大

中部電力(9502)

根拠SOCおよびセキュリティ専用データセンターは24時間365日稼働の大電力消費施設であり、新規DC・SOC拠点の増設は電力供給契約の長期積み上げに直結します。中部電力はデータセンター集積が進む東海・首都圏エリアへの電力供給基盤を持ち、HISインシデントを契機としたセキュリティDC増設需要の拡大が同社の法人向け長期電力契約を増加させます。国内IT投資拡大に伴うDC電力需要の増大は電力単価交渉において供給側に有利に働きます。
経路セキュリティ投資拡大によるSOC・DC新設増加(24時間大電力需要の恒常的発生)→東海・首都圏DC向け長期電力契約の積み上げ(解約リスクの低い安定収益)→法人電力販売量・収益の拡大

ダイキン工業(6367)

根拠セキュリティ専用DC・SOC施設の稼働には高密度サーバの発熱を処理する精密空調・チラーユニットが必須であり、施設増設のたびに冷却設備の新規導入需要が発生します。ダイキン工業は大規模データセンター向け精密空調・チラーで国内トップクラスのシェアを持ち、HISインシデント後のセキュリティDC増設トレンドが同社の受注パイプラインを拡大させます。国内IT投資が2026年に24.1兆円へ拡大する環境下で、冷却インフラ需要は着実に積み上がります。
経路セキュリティ投資拡大によるDC・SOC施設の新設増加(高密度サーバの冷却需要の恒常的発生)→精密空調・チラーユニットの受注増加(大型案件の複数同時進行)→データセンター向け空調部門の売上高・利益の拡大

打撃を受ける可能性がある企業

エイチ・アイ・エス(9603)

根拠タイ現地法人ファイルサーバへの不正アクセスにより最大627人分のパスポート番号・生年月日・署名情報が流出した可能性があり、信頼回復コストが直撃します。2026年10月期第3四半期累計の営業利益はすでに前年同期比18.1%減の51億円と苦戦しており、グアムリース解約損約59億円も重なっています。追加のセキュリティ投資・外部専門家費用・法的対応コストが上乗せされることで、通期営業利益の一段の圧迫と予約キャンセル・ブランド棄損による売上高の下押しが同時に発生します。
経路パスポート情報627人分漏洩の公表(ブランド信頼棄損・予約キャンセル増加)→セキュリティ投資・法的対応費用の追加計上(営業利益を一段と圧迫)→通期業績のさらなる下振れリスク拡大

メルカリ(4385)

根拠HISインシデントはフィンテック・EC事業者が保有する個人情報の管理水準への社会的注目を急速に高め、金融当局・消費者庁からの指導強化のトリガーになります。メルカリはフリマプラットフォームと決済基盤を通じて大量の個人・決済情報を保有しており、同種インシデント再発防止のためのシステム監査・セキュリティ診断費用の追加支出が発生します。対応コストの増加は成長投資余力を削り、マーケティング費・プロダクト開発費への配分を圧迫します。
経路HISインシデントによる個人情報管理への社会・当局の注目急上昇(業界横断の監査要件強化)→追加セキュリティ診断・システム改修コストの発生(成長投資余力の縮小)→営業損失の拡大もしくは黒字化時期の後ずれ

AGS(3648)

根拠AGSは決済システムの受託開発・運用を主力とし、2026年3月期の売上高は286億円・営業利益は24億円規模です。旅行・小売・金融業界での情報漏洩インシデント多発を受けて、顧客企業がシステム委託先に求めるセキュリティ要件が一段と厳格化し、既存契約の仕様変更・追加対応費用が発生します。要件強化への対応コストが先行するため利益率が低下し、新規案件獲得においても入札要件の高度化により受注競争が激化します。
経路HISインシデントによる決済システム委託先へのセキュリティ要件強化(顧客からの仕様変更要求増加)→既存契約の追加対応コスト先行・利益率低下(新規案件の入札要件も高度化)→営業利益の圧迫と受注競争激化

日本航空(9201)

根拠日本航空は旅行パッケージ・マイレージプログラムを通じてパスポート情報を含む大量の顧客情報を保有しており、HISインシデントは同種リスクへの社会的警戒を高めます。当局・取引先からのセキュリティ監査要件強化を受けて、自社システム診断・セキュリティ投資の前倒しが求められ、追加の費用計上が発生します。旅行需要の高い時期に情報管理懸念が広がることで、旅行パッケージ経由の予約行動に慎重化が生じ、収益に下押し圧力がかかります。
経路HISインシデントによるパスポート情報管理懸念の社会的拡大(旅行業界全体への不信感波及)→セキュリティ監査・システム改修コストの前倒し計上(費用増加)→パッケージ旅行予約の慎重化と収益への下押し圧力

アゴーラ ホスピタリティー グループ(9704)

根拠アゴーラ ホスピタリティー グループはホテル運営・旅行商品を通じて顧客の個人情報・パスポートコピーを保有しており、HISインシデントが旅行・宿泊業界全体の情報管理水準への監視を強める構造があります。当局・業界団体からのセキュリティ基準引き上げ要請を受けてシステム診断・改修費用が増加し、中小規模ホテル事業者に比べて対応コストの利益に対する比率が相対的に高くなります。顧客の個人情報管理への不安が旅行予約の意思決定を慎重化させ、稼働率に影響を与えます。
経路HISインシデントによる宿泊・旅行業界の情報管理強化要請(セキュリティ基準の一斉引き上げ)→ホテル運営システムの監査・改修コスト増加(利益を圧迫)→顧客不安による予約慎重化・稼働率への下押し

オリックス(8591)

根拠オリックスはリース・保険・フィンテック・旅行(HISとの業務関係を含む)など多角的な金融事業を通じて大量の個人・法人情報を保有しており、HISインシデントは金融当局による個人情報保護規制の強化議論を加速させます。規制強化に伴うシステム監査・コンプライアンス対応費用が増加し、フィンテック事業での不正取引防止投資も上乗せされます。多岐にわたる事業ポートフォリオ全体でセキュリティ投資を横断的に実施する必要が生じ、グループ全体のコスト構造を押し上げます。
経路HISインシデントによる金融当局の個人情報保護規制強化議論の加速(金融・リース業界への監査要件強化)→グループ横断のセキュリティ投資・コンプライアンスコスト増加(利益率を圧迫)→フィンテック事業の不正取引防止投資も上乗せされ営業利益を下押し
XLINEFacebook

Chainvest

そのニュース、あなたの保有銘柄に影響あるかも

あなたの注目銘柄への影響を、AIが即座に可視化します。

今すぐ無料で確認

参考資料

関連記事

記事制作者

かぶてぃー プロフィール写真

かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

X: @kabuteer →
波及の読み方を学ぶ →「風が吹けば桶屋が儲かる」投資思考