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著者: かぶてぃー|公開: 2026年7月29日|更新: 2026年7月29日

韓国の水中データセンター計画本格化。鹿島建設(1812)に海底データセンター関連の恩恵はあるか——水中DC市場が問う建設業の次の一手

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韓国海洋水産省が2026年4月、蔚山沖を水深20メートルの海中データセンター実証現場に選定し、計画が本格始動しました(日本経済新聞 2026年7月28日)。韓国は米国・中国に続く海中DC開発参入であり、中国では2026年5月から上海で洋上風力発電を電源とする商用海底データセンターをHiCloudが稼働させています(中国海底DC稼働報道)。水中データセンターの世界市場規模は2025年の11億1,000万米ドルから2026年には13億3,000万米ドルへ拡大すると市場調査が示しています(GII市場レポート 2026年)。国土が狭く三方を海に囲まれた韓国が国家構想として推進する背景には、AI向けDC需要の急拡大と陸上用地の制約があります。

韓国の海中データセンター計画が本格始動し、海洋土木・特殊設備工事に強みを持つ鹿島建設(1812)への中長期的な恩恵が見込まれる一方、陸上型DCに特化してきたエクイニクス(EQIX)は立地モデルそのものへの競合圧力というリスクを抱えます。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし海中冷却の効率化に成功した場合、国土制約を克服するAIインフラ拠点として定着する

直接影響を受けるセクター

建設・設備工事・プラント

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    海中DC実証開始

    韓国蔚山沖で水深20mデータセンター計画が本格化

  2. 2
    海中冷却技術の効率化

    海水冷却による消費電力削減でAIインフラコスト競争力向上

  3. 3
    冷却・電源システム需要増加

    海中環境対応の冷却配管・電力制御装置の大量需要化

  4. 4
    海中環境用特殊材料・部品需要

    塩分・高圧環境耐性を持つ電子部品・素材の専門企業に発注集中

  5. 5
    再生可能エネルギー併設計画

    沿岸洋上風力発電との組み合わせでエネルギー自給検討

  6. 6
    通信インフラ更新波及

    海中DC-陸上間の光ファイバー敷設・高速通信需要急増

海底データセンター計画が建設会社に何をもたらすか

日本経済新聞(2026年7月28日)が報じた韓国の計画の核心は、冷却コストの削減にあります。陸上型データセンターは消費電力の3〜4割を空調に充てますが、海水を直接利用できる海中設備ではその割合を大幅に圧縮できる構造があります。AI推論処理の拡大でGPUの発熱密度が上昇し続けるなか、この冷却効率の差はAIインフラのランニングコスト競争力に直結します。

GIIの市場レポート(2026年)によれば、水中DC市場は2025年から2026年にかけて約20%成長する見通しであり、中国ではHiCloudが洋上風力電源と組み合わせた商用海底DCをすでに稼働させています。韓国はこの既成事実を受けて国家レベルの実証に踏み切った形で、蔚山という造船・重工業の集積地を選定した点は設備製造の内製化を意識した布石と読めます。

鹿島建設(1812)の位置づけと海底DC建設会社への影響

海中DC案件は「建設工事」として分解すると、耐圧・防食仕様の躯体製作、海底への設置・固定工事、陸上-海中間の電力・光ファイバーケーブル敷設、そして長期メンテナンス体制の構築という工程に分かれます。この全工程をワンストップで担える海洋土木の実績と総合力が、発注先の選定基準に直結します。

鹿島建設(1812)は土木・建築・開発の三事業を展開し、米州・豪州など海外インフラ工事での実績を積み上げています。海洋土木の技術基盤を持つ総合建設会社として、海中DC案件が国際的に拡大した場合に受注競争に参加できる数少ない日本企業の一つに位置づけられます。同様の文脈で清水建設(1803)も注目されますが、清水建設の2026年3月期第1四半期決算説明会資料が示すように、同社のDC受注は直近四半期で200〜300億円程度と前年度の800〜1,000億円から減速しており、陸上型DCへの依存度が高い現状では海中型への転換は新たな投資を要します。

一方、クアンタ・サービシズ(PWR)は電気・通信インフラ工事に強みを持ち、海底ケーブル敷設や電力系統接続の工種で競合します。ただし水中環境特有の耐圧・耐塩性要件は、陸上インフラ工事の延長では対応できない別技術であり、参入障壁として機能する構造があります。

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見落とされやすい通信インフラと陸上型DC事業者へのリスク

海中DC-陸上間の通信接続は、海底光ファイバーケーブルの新規敷設を必要とします。韓国・蔚山の実証規模であっても、海底ケーブル工事は数百億円単位の調達が生じる工種であり、光ファイバー関連のサプライヤーにも需要波及が起きます。

構造的なリスクを抱えるのは、陸上立地を事業価値の源泉にしてきたプレイヤーです。エクイニクス(EQIX)に代表される大都市圏密集型のコロケーションDC運営は、海中DCが大規模電力・冷却を安価に提供できる用途と競合する場面が生じます。また国内では、野村不動産ホールディングス(3231)や三菱地所(8802)のような都市型不動産・物流DC開発企業も、海中型が陸上用地の希少性というプレミアムを希薄化させるシナリオへの感度を持っておく必要があります。

韓国が2026年の実証を経て商用化段階に入れば、国土制約を持つ日本でも同様の議論が政策レベルで浮上する可能性があります。その時点で設計・施工の実績を持つ建設会社と、海中環境対応素材を抑えたサプライヤーの優位性は一段と明確になります。

恩恵を受ける可能性がある企業

鹿島建設1812

根拠鹿島建設は土木・建築・開発の三事業を展開し、米州・豪州を含む海外インフラ工事で海洋土木の実績を積み上げています。海中DC案件は耐圧・防食躯体の製作、海底設置・固定工事、電力・光ファイバーケーブル敷設、長期メンテナンスという全工程をワンストップで担える総合力が選定基準となります。水中DC市場が2025年比約20%成長する見通しのなか、韓国・蔚山の国家実証が商用化に進めば、海洋土木技術基盤を持つ日本の総合建設会社として受注競争に参加できる数少ない企業として案件獲得機会が拡大します。
経路韓国・蔚山の海中DC実証が商用化フェーズに移行(国家実証民間展開)海洋土木フルラインアップ発注が増加(耐圧躯体・海底設置・ケーブル敷設の一括受注)海外インフラ事業の売上高・利益率が拡大(米州・豪州実績を背景とした国際競争力)

打撃を受ける可能性がある企業

清水建設1803

根拠清水建設はデータセンター建設で業界トップ級の実績を持ちますが、2026年3月期第1四半期のDC受注は200〜300億円程度と前年度の800〜1,000億円から大幅に減速しています。同社のDC事業は空調設備を内包する陸上型の設計・施工に最適化されており、海水冷却を前提とする海中DC案件への対応には耐圧・耐塩性の別技術と追加投資が必要となります。海中DC市場が拡大するほど陸上型DC建設の新規案件パイプラインが細り、既存の受注基盤の回復余地が縮小します。
経路海中DCの冷却コスト優位が顕在化(消費電力比3〜4割削減)発注者の陸上型DC新規投資が抑制(冷却効率格差がLCC評価に直結)陸上型DCに最適化された清水建設の受注パイプラインがさらに縮小(既存減速トレンドが加速)

QUANTA SERVICES, INC.PWR

根拠クアンタ・サービシズは電気・通信インフラ工事に強みを持ち、データセンター向けのインフラソリューションを提供しています。海中DC案件では海底ケーブル敷設や電力系統接続の工種で競合ポジションを持ちますが、水中環境特有の耐圧・耐塩性要件は陸上インフラ工事の技術延長では対応できない別領域であり、同社が強みを持つ陸上電力・通信工事の受注機会を海中DC専業勢に奪われるリスクがあります。海中DC比率が上昇するほど、陸上系インフラ工事市場のパイ自体が縮小します。
経路海中DC案件の増加(耐圧・耐塩性の別技術が参入障壁として機能)陸上電力・通信インフラ工事の新規発注量が減少(発注者の投資対象がシフト)クアンタの中核受注領域での競争激化と収益圧迫(陸上特化ポジションの優位性が低下)

野村不動産ホールディングス3231

根拠野村不動産ホールディングスは都市型不動産・物流DC開発を事業の柱の一つとしており、陸上用地の希少性・立地プレミアムを収益源としています。海中DCが大規模な電力・冷却を安価に提供できる用途で陸上型と競合する場面が生じると、都心近郊の高単価用地取得を前提とするDC開発の投資判断に下押し圧力がかかります。国土面積に制約を持つ日本で政策議論が浮上した場合、陸上用地の希少性プレミアムが希薄化し、開発案件の利回り水準が低下します。
経路海中DCの商用化議論が日本でも政策レベルに浮上(韓国実証の成功が先行事例に)陸上用地の希少性プレミアムが希薄化(DC立地選定で海中オプションが比較軸に加わる)野村不動産の都市型DC開発案件の期待利回りが低下(用地取得コストに対するレント収受力が縮小)

三菱地所8802

根拠三菱地所は大手町・丸の内を中心とする都市型商業・オフィス不動産に加え、物流施設やDC開発を成長分野として位置づけています。海中DCが陸上立地の絶対的優位性を崩すシナリオでは、同社が保有・開発する都心立地の高付加価値DCの競争優位が低下します。さらに電力インフラの逼迫を背景に陸上DC用地の電力確保コストが上昇する中で、海中DCが低コスト電力・冷却を武器に大口テナントを取り込むと、三菱地所の開発物件のテナント埋まり速度と賃料水準に下押し圧力がかかります。
経路海中DCが大規模冷却・電力コストで陸上型に対し構造的優位を確立(冷却電力比3〜4割削減)大口DC利用者が海中型へのシフトを検討(LCCベースの立地選定が加速)三菱地所の都市型DC開発の稼働率・賃料成長率が鈍化(テナント需要の取り込みが競合激化)

EQUINIX INCEQIX

根拠エクイニクスは大都市圏の密集立地型コロケーションDCを世界規模で運営しており、その事業価値は都市内立地の希少性と相互接続エコシステムの集積に依拠しています。海中DCが大規模電力・冷却を低コストで提供できる用途—特にAI推論処理向けの高発熱密度ワークロード—で競合する場面が増加すると、同社の大型顧客がバックエンド処理を海中型に移管するコスト動機が高まります。GPUの発熱密度上昇が続くほど、冷却コスト差は拡大し、エクイニクスの単価競争力が低下します。
経路AI推論拡大でGPU発熱密度が上昇(冷却コストが総TCOの主要変数に)大口顧客が高発熱ワークロードを海中DCへ移管(LCCベースでエクイニクス比30〜40%の冷却コスト削減)エクイニクスのコロケーション稼働率・ARPU成長が鈍化(都市型立地プレミアムの優位性が剥落)
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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