韓国の水中データセンター計画本格化。鹿島建設(1812)に海底データセンター関連の恩恵はあるか——水中DC市場が問う建設業の次の一手
韓国海洋水産省が2026年4月、蔚山沖を水深20メートルの海中データセンター実証現場に選定し、計画が本格始動しました(日本経済新聞 2026年7月28日)。韓国は米国・中国に続く海中DC開発参入であり、中国では2026年5月から上海で洋上風力発電を電源とする商用海底データセンターをHiCloudが稼働させています(中国海底DC稼働報道)。水中データセンターの世界市場規模は2025年の11億1,000万米ドルから2026年には13億3,000万米ドルへ拡大すると市場調査が示しています(GII市場レポート 2026年)。国土が狭く三方を海に囲まれた韓国が国家構想として推進する背景には、AI向けDC需要の急拡大と陸上用地の制約があります。
韓国の海中データセンター計画が本格始動し、海洋土木・特殊設備工事に強みを持つ鹿島建設(1812)への中長期的な恩恵が見込まれる一方、陸上型DCに特化してきたエクイニクス(EQIX)は立地モデルそのものへの競合圧力というリスクを抱えます。
Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。
このニュースの前提
もし海中冷却の効率化に成功した場合、国土制約を克服するAIインフラ拠点として定着する
直接影響を受けるセクター
建設・設備工事・プラントAIが連想した波及の流れ
- 1海中DC実証開始
韓国蔚山沖で水深20mデータセンター計画が本格化
- 2海中冷却技術の効率化
海水冷却による消費電力削減でAIインフラコスト競争力向上
- 3冷却・電源システム需要増加
海中環境対応の冷却配管・電力制御装置の大量需要化
- 4海中環境用特殊材料・部品需要
塩分・高圧環境耐性を持つ電子部品・素材の専門企業に発注集中
- 5再生可能エネルギー併設計画
沿岸洋上風力発電との組み合わせでエネルギー自給検討
- 6通信インフラ更新波及
海中DC-陸上間の光ファイバー敷設・高速通信需要急増
海底データセンター計画が建設会社に何をもたらすか
日本経済新聞(2026年7月28日)が報じた韓国の計画の核心は、冷却コストの削減にあります。陸上型データセンターは消費電力の3〜4割を空調に充てますが、海水を直接利用できる海中設備ではその割合を大幅に圧縮できる構造があります。AI推論処理の拡大でGPUの発熱密度が上昇し続けるなか、この冷却効率の差はAIインフラのランニングコスト競争力に直結します。
GIIの市場レポート(2026年)によれば、水中DC市場は2025年から2026年にかけて約20%成長する見通しであり、中国ではHiCloudが洋上風力電源と組み合わせた商用海底DCをすでに稼働させています。韓国はこの既成事実を受けて国家レベルの実証に踏み切った形で、蔚山という造船・重工業の集積地を選定した点は設備製造の内製化を意識した布石と読めます。
鹿島建設(1812)の位置づけと海底DC建設会社への影響
海中DC案件は「建設工事」として分解すると、耐圧・防食仕様の躯体製作、海底への設置・固定工事、陸上-海中間の電力・光ファイバーケーブル敷設、そして長期メンテナンス体制の構築という工程に分かれます。この全工程をワンストップで担える海洋土木の実績と総合力が、発注先の選定基準に直結します。
鹿島建設(1812)は土木・建築・開発の三事業を展開し、米州・豪州など海外インフラ工事での実績を積み上げています。海洋土木の技術基盤を持つ総合建設会社として、海中DC案件が国際的に拡大した場合に受注競争に参加できる数少ない日本企業の一つに位置づけられます。同様の文脈で清水建設(1803)も注目されますが、清水建設の2026年3月期第1四半期決算説明会資料が示すように、同社のDC受注は直近四半期で200〜300億円程度と前年度の800〜1,000億円から減速しており、陸上型DCへの依存度が高い現状では海中型への転換は新たな投資を要します。
一方、クアンタ・サービシズ(PWR)は電気・通信インフラ工事に強みを持ち、海底ケーブル敷設や電力系統接続の工種で競合します。ただし水中環境特有の耐圧・耐塩性要件は、陸上インフラ工事の延長では対応できない別技術であり、参入障壁として機能する構造があります。
見落とされやすい通信インフラと陸上型DC事業者へのリスク
海中DC-陸上間の通信接続は、海底光ファイバーケーブルの新規敷設を必要とします。韓国・蔚山の実証規模であっても、海底ケーブル工事は数百億円単位の調達が生じる工種であり、光ファイバー関連のサプライヤーにも需要波及が起きます。
構造的なリスクを抱えるのは、陸上立地を事業価値の源泉にしてきたプレイヤーです。エクイニクス(EQIX)に代表される大都市圏密集型のコロケーションDC運営は、海中DCが大規模電力・冷却を安価に提供できる用途と競合する場面が生じます。また国内では、野村不動産ホールディングス(3231)や三菱地所(8802)のような都市型不動産・物流DC開発企業も、海中型が陸上用地の希少性というプレミアムを希薄化させるシナリオへの感度を持っておく必要があります。
韓国が2026年の実証を経て商用化段階に入れば、国土制約を持つ日本でも同様の議論が政策レベルで浮上する可能性があります。その時点で設計・施工の実績を持つ建設会社と、海中環境対応素材を抑えたサプライヤーの優位性は一段と明確になります。
恩恵を受ける可能性がある企業
鹿島建設(1812)
打撃を受ける可能性がある企業
清水建設(1803)
QUANTA SERVICES, INC.(PWR)
野村不動産ホールディングス(3231)
三菱地所(8802)
EQUINIX INC(EQIX)
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記事制作者

かぶてぃー(Chainvest編集部)
マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始
ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。
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