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著者: かぶてぃー|公開: 2026年5月1日|更新: 2026年5月1日

ホルムズ海峡封鎖でLNG関連銘柄はどう動くか|石油資源開発の代替調達と製造業への影響

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石油資源開発(JAPEX)は2026年4月17日、ホルムズ海峡以西のペルシャ湾内から契約していた運搬船2隻分のLNGについて、事実上の封鎖に伴い代替調達が必要となり、9月分まで中東域外からの代替供給にめどをつけたと発表しました。調達先は非開示で、スポット価格での調達となったため調達コストが上昇しており、増加コストを価格転嫁で吸収しきれない可能性があります(日本経済新聞 2026年4月17日)。同LNGは自社の福島天然ガス発電所(福島県新地町、出力計118万キロワット)のほか、工場や都市ガス向けにも供給されています。経済産業省はホルムズ海峡経由のLNG輸入量を年間約400万トン・全体の約6%と説明しており、JETROは2026年3月11日付でカタール・UAEを含む中東依存の構造的リスクを報告しています(JETRO 2026年3月11日)。

ホルムズ海峡封鎖でLNG代替調達コストが急騰するなか、電力卸売価格の上昇を経由した産業用電力費増加により電炉鋼を主力とするJFEスチール(5411)への恩恵が見込まれる一方、エネルギー多消費型の生産工程をもつ住友化学(4005)はコスト増を吸収しきれないリスクを抱えます。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし複数地域からの長期調達契約が成立した場合、供給ルートの多元化が実現し中東依存から脱却する。

直接影響を受けるセクター

電力・ガス事業者

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    LNG調達コスト上昇

    中東緊迫によるスポット価格高騰

  2. 2
    電力卸売価格上昇

    発電コスト増→電力取引市場への転嫁

  3. 3
    製造業の電力調達費増加

    卸売価格上昇が産業用電力料金に波及

  4. 4
    エネルギー多消費産業の利益圧縮

    電炉鋼・化学・セメント等の原価増

  5. 5
    川下製品の競争力低下

    高コスト素材が下流産業へ波及

  6. 6
    輸出産業の採算悪化

    国際競争力喪失で販売数量減少

  7. 7
    資本装備産業の受注減

    製造業の設備投資延期・削減

ホルムズ海峡封鎖でLNG調達コストが上昇する構造

経済産業省はホルムズ海峡経由のLNG輸入量を年間約400万トン・全体の約6%と説明していますが、IEAはホルムズ混乱が世界LNG市場の約20%に影響し得るとしており、スポット価格の高騰は日本国内にとどまらない調達競争を生み出しています(global-scm.com 2026年4月29日)。石油資源開発(JAPEX)は中東域外からの代替調達で9月分の供給にめどをつけましたが、スポット価格での調達となったため増加コストの全額転嫁は困難な状況です(日本経済新聞 2026年4月17日)。10月以降のペルシャ湾内調達計画については情勢を見極めて判断するとしており、中長期の調達リスクは継続します。資源エネルギー庁は2026年3月27日に電力・ガス事業者・資源開発事業者・商社との官民連絡会議を開催し、LNG安定供給確保に向けた体制を整えましたが、スポット価格を通じた波及圧力は収まっていません(資源エネルギー庁 2026年3月27日)。

川崎重工業・JFEスチールなどLNG関連銘柄への影響

LNG調達コストの上昇は発電コスト増を通じて電力卸売価格を押し上げ、産業用電力料金へと転嫁される経路があります。川崎重工業(7012)はエネルギーソリューション&マリン部門が牽引し、2026年3月期第3四半期の売上収益は前年同期比10.9%増の1兆5,614億円、親会社帰属の四半期利益は同49.1%増と大幅に改善しており、LNGタンカーや関連設備への需要増が背景にあります。LNG代替調達ルートの多元化が進むほど、液化設備・輸送船・受入端末の設備投資需要が高まる構造があるため、同社にとってはプラス方向の環境が続きます。一方でJFEスチール(5411)は電炉鋼生産における電力消費が大きく、電力卸売価格の上昇局面では原価構造に直接影響が生じますが、同社が属する鉄鋼セクター全体のコスト増は国内競合も同条件であるため、海外材との価格差が縮小する局面では国内需要の下支えが働きます。

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見落とされやすい住友化学・日立造船・荏原製作所への打撃

エネルギー多消費度が高く、かつ製品価格への転嫁が遅れやすい業種ほどマージンスクイーズが深刻になります。住友化学(4005)は石油化学プロセスで大量の電力と蒸気を使用しており、電力調達費の上昇が直接的に製造原価を押し上げます。三菱ケミカルが2026年3月6日から鹿島コンビナートでエチレン減産を開始したように、ナフサ供給の約3分の2を中東3カ国(UAE・クウェート・カタール)に依存する石油化学業界全体が稼働率低下と原価増の二重圧力にさらされており、住友化学も同様の構造的リスクを抱えます(global-scm.com 2026年4月13日)。日立造船(7004)は廃棄物発電・バイオマス発電向けのプラント受注を主力としますが、製造業全体の設備投資の延期・削減が進む局面では新規プラント案件の受注タイミングが後ずれするリスクがあります。荏原製作所(6361)はポンプ・コンプレッサーなどエネルギー関連の産業機械を製造しており、製造業ユーザーの投資抑制が続くと受注の伸びが鈍化する構造があります。LNG供給不足を起点とした電力価格上昇は、こうした川下の設備投資サイクルにまで影響を及ぼす点が、単純なエネルギーコスト問題にとどまらない理由です。

恩恵を受ける可能性がある企業

JFEスチール5411

根拠JFEスチールは高炉・電炉を併用する鉄鋼メーカーですが、LNG調達コスト上昇に伴う電力卸売価格の高騰は国内鉄鋼各社に一律に及ぶため、コスト増が競合との相対的な競争力を損ないません。むしろ輸入鋼材との価格差が縮小する局面では国内需要の下支えが働き、国内販売シェアの維持・拡大につながります。LNG不足を背景とした代替エネルギーインフラ向けの鋼材需要(LNGタンカー・受入端末・配管)も追加的な販売機会を生み出します。
経路LNG高騰による電力コスト上昇(国内鉄鋼各社に一律波及)輸入鋼材との価格差縮小(国内品の相対競争力維持)国内販売シェア下支えおよびLNGインフラ向け鋼材需要増加

三井化学4183

根拠三井化学はナフサを原料とする石油化学製品を手掛けており、ホルムズ混乱を契機としたナフサスポット価格の下落局面では原料調達コストの低減が製品マージンを押し上げます。また、三菱ケミカルが鹿島コンビナートでエチレン減産を開始するなど競合他社の生産能力が縮小する中、稼働率を維持できる事業者は国内市場での供給シェアを高め、製品価格交渉力が増します。UAEなど中東以外の代替調達ルートを持つ工場では相対的な原料調達の安定性が競争優位につながります。
経路競合他社のエチレン減産(国内供給量縮小)稼働維持工場の市場シェア上昇(製品価格交渉力増大)石油化学製品マージンの拡大

川崎重工業7012

根拠川崎重工業のエネルギーソリューション&マリン部門はLNGタンカー・液化設備・受入端末設備の設計・製造を手掛けており、2026年3月期Q3の売上収益は前年同期比10.9%増の1兆5,614億円、親会社帰属利益は同49.1%増を記録しています。ホルムズ海峡封鎖によるLNG代替調達ルートの多元化が進むほど、液化・輸送・受入の各段階での設備投資需要が増加し、同社の受注残高と受注パイプラインが拡大します。中長期にわたるLNG調達リスクの高止まりは新規LNGインフラ案件の前倒し発注を促します。
経路ホルムズ封鎖によるLNG代替ルート多元化(輸送・液化インフラ投資加速)LNGタンカー・受入端末の受注増(エネルギーソリューション&マリン部門が牽引)売上収益・利益の拡大継続

打撃を受ける可能性がある企業

住友化学4005

根拠住友化学は石油化学プロセスで大量の電力と蒸気を消費しており、LNG調達コスト上昇に伴う電力卸売価格の高騰が製造原価を直接押し上げます。日本のナフサ輸入の約67%をUAE・クウェート・カタールの中東3カ国に依存する構造上、ホルムズ封鎖はナフサ原料の供給遮断リスクも同時にもたらし、稼働率低下と電力コスト増の二重圧力が生じます。三菱ケミカルの鹿島コンビナートでのエチレン減産が示す通り、石油化学業界全体が同様の構造的リスクにさらされており、製品価格への転嫁が遅れる局面ではマージンスクイーズが深刻化します。
経路ホルムズ封鎖によるナフサ供給遮断リスク(中東3カ国依存67%)電力コスト上昇+稼働率低下の二重圧力(製造原価の急上昇)転嫁遅延によるマージンスクイーズ深刻化

日立造船7004

根拠日立造船は廃棄物発電・バイオマス発電向けプラントの受注を主力事業としており、発注主体である製造業・自治体の設備投資判断はエネルギーコストの先行き不透明感が高まる局面で保守化します。LNG高騰に伴う電力価格上昇が製造業全体の収益を圧迫すると、新規プラント案件の発注延期・予算削減が相次ぎ、同社の受注タイミングが後ずれします。エネルギーコスト上昇局面では建設資材・鋼材コストも上昇するため、受注済み案件の採算も悪化する方向に作用します。
経路LNG高騰による電力価格上昇(製造業・自治体の収益圧迫)設備投資の延期・削減(新規プラント発注の後ずれ)受注タイミング遅延と既受注案件の採算悪化

荏原製作所6361

根拠荏原製作所はポンプ・コンプレッサーなどエネルギー関連産業機械を製造業・化学・電力ユーザーに供給しており、LNG調達コスト上昇を起点とした電力価格高騰が顧客企業の投資余力を縮小させます。化学・石油化学プラントが稼働率低下に直面する局面では、設備更新・増設投資が抑制され、同社の受注成長率が鈍化します。エネルギー多消費型ユーザーほど投資抑制の度合いが大きく、荏原製作所の主要顧客層と重なるため、売上成長の下押し圧力が集中します。
経路LNG高騰に伴う電力価格上昇(化学・製造業ユーザーの投資余力縮小)設備更新・増設投資の抑制(ポンプ・コンプレッサー受注成長率の鈍化)売上・利益成長の下押し圧力
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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