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著者: かぶてぃー|公開: 2026年5月7日|更新: 2026年5月7日

再エネ出力制御の関連銘柄:蓄電池普及の恩恵と電力株への影響を整理

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京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座はコラムNo.414(公開日不明)において、関西電力エリアでの原子力発電量急増が再エネ出力制御の急伸を招いたことを統計データで検証し、「再エネと原発はバッティングする」と結論づけました。資源エネルギー庁が2026年3月16日に発表した資料によれば、2025年3月1日に東京エリアで初めて再エネ出力制御が実施され、全エリアで出力制御が経験されたことが確認されました。オムロン ソーシアルソリューションズの2025年最新版解説では、2023年度の出力制御量が18億kWhを超え、2025年度も高水準が続く見込みであると報告されています。同コラムは、2030年以降に洋上風力が東日本で本格稼働する際に原発再稼働が重なれば、系統増強投資が無駄に終わるリスクがあるとも警告しています。

再エネ出力制御が全国拡大する中、解決策である大型蓄電池の需要増でパナソニック ホールディングス(6752)への恩恵が見込まれる一方、浜岡原発のデータ不正問題が再稼働を遠ざけた中部電力(9502)は出力制御コスト負担と系統投資の両重荷を抱えるリスクがあります。

Chainvestでは、このニュースをAIに連想させ、以下の前提・セクター・波及経路を導き出しました。

このニュースの前提

もし蓄電池導入や地域間の連系線増強が進んだ場合、出力制御を大幅に削減して再エネと原発の両立が実現する

直接影響を受けるセクター

エネルギー・電力

AIが連想した波及の流れ

  1. 1
    出力制御激増(2023年)

    西日本で再エネ出力制御が全国的に拡大

  2. 2
    蓄電池需要増加

    出力制御削減の解決策として大型蓄電池導入が急増

  3. 3
    蓄電池向け部品・素材需要拡大

    正極材・電解質・パワー制御IC等の中間財需要が連鎖

  4. 4
    系統安定化インフラ投資

    連系線増強・変圧器・電力制御機器の大型調達開始

  5. 5
    原発再稼働推進による安定電源強化

    再エネと原発共存に向けた基盤整備で関連産業が恩恵

再エネ出力制御が全国拡大——何が変わるか

資源エネルギー庁が2026年3月16日に公表した資料では、2025年3月1日に東京エリアで初めて再エネ出力制御が実施され、国内全エリアで出力制御が経験されたことが示されました。オムロン ソーシアルソリューションズの最新解説によれば、2023年度の制御量はすでに18億kWhを超えており、無制限無補償の適用範囲拡大によって発電事業者のリスクはさらに高まっています。

京都大学大学院 再生可能エネルギー経済学講座コラムNo.414は、出力制御の本質的な要因として「再エネと原発のバッティング」を統計的に裏付けました。2030年以降に洋上風力が東日本で本格稼働し、原発再稼働が重なれば、電力を受け入れる余地がほぼなくなる事態が生じ、系統増強投資が無駄に終わるリスクがあると指摘しています。この構造的矛盾が解消されない限り、出力制御は恒常化します。

蓄電池普及の恩恵銘柄——パナソニック・日本碍子への需要拡大

出力制御の抑制策として急速に存在感を増しているのが、大型蓄電池と系統安定化インフラへの投資です。余剰電力をいったん蓄えてピーク以外に放出する仕組みが広がると、正極材・電解質・パワー制御ICといった中間財の需要が連鎖的に拡大します。

パナソニック ホールディングス(6752)は車載・定置型を含む電池事業を中核に置いており、国内外の系統用蓄電池市場の拡大は同社の電池セグメントに追い風が生じます。足元では2026年3月期の連結純利益が前期比34%減の2,400億円見込みと大幅減益であり構造改革の最中にあるものの、蓄電池需要という外部環境の変化が中期的な収益回復のエンジンになり得る位置づけにあります。

意外性のある視点として注目されるのが日本碍子(5333)です。同社は独自のセラミック技術をベースにNAS(ナトリウム硫黄)電池を手がけてきた実績を持ちます。2026年3月期連結業績は売上高6,701億円(前期比8.2%増)、営業利益950億円(同16.9%増)と過去最高を更新しており、AI関連の半導体需要に加え、系統用蓄電池の需要拡大が同社のセラミック素材・絶縁体部品の受注にも直結します。送配電網の増強で必要となるがいし(碍子)は同社の本来事業であり、連系線増強投資の加速が需要拡大に直結する構造があります。

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見落とされやすい電力株への打撃——中部電力・中国電力・四国電力の投資リスク

出力制御問題で見落とされやすいのが、地域電力会社が抱える二重の負担です。再エネ普及が進む西日本エリアでは、中国電力(9504)や四国電力(9507)が出力制御の管理コストと系統安定化に向けたインフラ投資を同時に求められます。出力制御量が増えるほど系統管理の複雑さが増し、運用コストが上昇する構造があります。

中部電力(9502)は別の角度からリスクを抱えます。浜岡原発のデータ不正問題で安全審査が中断しており、原発再稼働による電源安定化の見通しが立たない状況が続いています。原発が稼働しない状態で再エネが拡大すれば、出力制御の回避にかかるコストを火力や連系で補う構造が継続し、コスト競争力の低下につながります。

住友金属鉱山(5713)は正極材向けニッケルのサプライヤーとして蓄電池拡大の恩恵側に映りますが、出力制御問題が長引いて国内蓄電池市場の整備が遅れれば、国内向け需要の立ち上がりが後ずれするリスクがあります。IHI(7013)はガスタービンや火力関連設備を持ち、再エネ拡大に伴う火力バックアップ需要の変動が事業計画に不確実性をもたらします。

恩恵を受ける可能性がある企業

直接影響を受ける企業

パナソニック ホールディングス6752

根拠パナソニックHDは車載・定置型を含む電池事業を中核セグメントに置いており、再エネ出力制御の全国拡大に伴う系統用蓄電池需要の増加は同社電池セグメントへの直接的な追い風となります。2023年度の出力制御量が18億kWhを超え、2025年度も高水準で推移する中、余剰電力の一時貯蔵・放出を担う大型蓄電池の導入需要が国内外で加速します。2026年3月期は構造改革費用1,800億円の計上で純利益が前期比34%減と過渡期にありますが、蓄電池市場の拡大が中期的な収益回復のエンジンとして機能します。
経路再エネ出力制御の全国拡大(余剰電力の蓄電ニーズ急増)系統用・定置型蓄電池の導入案件増加(国内外市場での受注拡大)パナソニックHD電池セグメントの売上・利益が拡大

東芝テック6588

根拠東芝テックの主力事業はPOSシステム等のリテールソリューションおよび複合機等のワークプレイスソリューションであり、再エネ出力制御問題に伴う系統安定化投資や蓄電池需要の拡大は、電力インフラ分野でのエネルギー管理システム・スマートメータリング関連ソリューションの需要増加を通じて同社の新規事業領域への参入機会を拡大します。2026年3月期第3四半期は売上高3,998億円・営業利益78%減と低迷していますが、国内の省エネ・電力最適化需要の高まりがソリューション事業の新たな引き合いを生み出します。
経路再エネ出力制御拡大に伴う電力需給管理の複雑化(エネルギーマネジメント需要増)施設・店舗向けエネルギー管理ソリューションへの引き合い増加(リテール・ワークプレイス領域での省エネ需要)東芝テックのソリューション事業における受注機会が拡大

意外な波及(連想チェーン2手目以降)

意外な波及

日本碍子5333

根拠日本碍子は独自のセラミック技術を起点にNAS(ナトリウム硫黄)電池を長年手がけてきた実績を持ち、系統用大型蓄電池分野における供給実績が事業の根幹にあります。再エネ出力制御の全国拡大により系統用蓄電池の導入が加速すると、同社のセラミック素材・絶縁体部品・がいし(碍子)への受注が直接増加します。送配電網の連系線増強投資の加速はがいし需要を押し上げ、2026年3月期に売上高6,701億円・営業利益950億円と過去最高を更新した成長軌道をさらに伸長させます。
経路再エネ出力制御拡大による系統用蓄電池・連系線増強投資の加速(NAS電池・がいし需要の直接増加)セラミック素材・絶縁体部品・碍子の受注拡大(供給実績に基づく優位性)日本碍子のエネルギー関連セグメントの売上・営業利益がさらに拡大

打撃を受ける可能性がある企業

中部電力9502

根拠中部電力は浜岡原発のデータ不正問題により安全審査が中断しており、原発再稼働による電源安定化の見通しが立たない状況が続いています。原発が稼働しない状態で再エネ導入が拡大すれば、出力制御の回避に必要な調整電源を火力や連系線で補う構造が継続し、燃料費・系統運用コストが高止まりします。出力制御量の増加に伴い系統管理の複雑性も増し、安定供給維持のためのインフラ投資負担と運用コスト上昇が同時進行することで、コスト競争力の低下が継続します。
経路浜岡原発再稼働停滞(調整電源の欠落が継続)再エネ拡大時の出力制御回避コストを火力・連系で補填(燃料費・系統運用コストが高止まり)中部電力のコスト競争力が低下し収益を圧迫

中国電力9504

根拠中国電力が管轄する西日本エリアは再エネ普及が全国でも先行しており、出力制御の管理コストと系統安定化インフラ投資を同時に求められる構造にあります。出力制御量が増加するほど、電力需給の調整に要する人員・システム・通信インフラの運用コストが上昇します。さらに連系線増強や蓄電池導入等の系統安定化投資を先行費用として計上する必要があり、短中期的に固定費負担が増大して利益を圧迫します。
経路西日本エリアでの再エネ出力制御量増加(系統管理の複雑化)需給調整コスト・系統安定化インフラへの先行投資が拡大(固定費負担増)中国電力の営業利益が圧迫され収益性が低下

四国電力9507

根拠四国電力も西日本エリアの一員として再エネ出力制御問題を先行して経験しており、出力制御量の増加に伴う系統管理コストの上昇が続いています。系統規模が相対的に小さい四国エリアでは、再エネの受け入れ余地が限られるため、出力制御の頻度・量が他エリアより高い水準で推移します。系統安定化のための蓄電池導入・連系線増強への投資需要が大きく、これらの設備投資負担が同社の財務・収益構造に重くのしかかります。
経路四国エリアにおける再エネ出力制御の高頻度化(系統規模の小ささによる受け入れ余地不足)系統管理コスト上昇と設備投資負担が同時増大(インフラ先行投資)四国電力の収益を継続的に圧迫

住友金属鉱山5713

根拠住友金属鉱山は正極材向けニッケルの主要サプライヤーとして蓄電池拡大の恩恵側に位置するものの、国内の出力制御問題が長期化して系統用蓄電池市場の整備・普及が遅延すれば、国内向けニッケル需要の立ち上がりが後ずれします。出力制御量が18億kWhを超える現状でも制度整備の遅れが国内蓄電池投資の抑制要因となっており、同社の国内需要見通しに下方リスクをもたらします。海外依存度を高めて補う対応が必要となり、調達・販売構造の再構築コストが発生します。
経路出力制御問題の長期化による国内蓄電池市場整備の遅延(国内蓄電池投資の抑制)正極材向けニッケルの国内需要立ち上がりが後ずれ(販売機会の逸失)住友金属鉱山の国内向け収益成長が鈍化

IHI7013

根拠IHIはガスタービンや火力関連設備を主要事業に持ち、再エネ拡大に伴うバックアップ電源としての火力需要変動が事業計画に不確実性をもたらします。出力制御が恒常化して系統安定化策として蓄電池・連系線投資が優先されると、従来想定していた火力バックアップ設備の新増設需要が抑制され、ガスタービン・関連設備の受注見通しが下振れします。また脱炭素政策の加速に伴い火力設備の長期的な更新需要も縮小方向に進み、IHIの主力事業ポートフォリオに構造的な逆風が生じます。
経路再エネ出力制御の恒常化と蓄電池・連系線投資の優先(火力バックアップ新増設需要の抑制)IHIのガスタービン・火力関連設備の受注見通しが下振れ(脱炭素加速による長期更新需要の縮小も重複)IHIのエネルギー関連事業セグメントの収益が下方圧力を受ける
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かぶてぃー(Chainvest編集部)

マーケター・個人開発者 / 投資歴: 2024年〜新NISAで個別株開始

ニュース起点の銘柄発見に課題を感じChainvestを開発。 自腹で実験ファンドを運用し、結果を全公開中。

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